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第11話

「自分関連、絶対って否定すんの、あかんとこな」 「っこ、この頑固者……っ」  けれど突然、断固として怯え腰が引ける雪の足の間にスリ、と硬いものが擦り付けられ、雪は慌てて足をモゾモゾと動かした。  その足はあっさり押さえつけられ、簡単に引き寄せられる。  グリ、と当たるモノ。  ジーンズ越しでもわかるそれは、雪とキスをしただけなのにしっかりと膨らんでいた。 「お前、嘘やん……ッ」  直は冷たい雪の体に興奮しているのだ。  シャツとその上に厚手のセーターを重ね着している直に対して、雪は薄いVネックシャツだけ。見ているだけで寒いだろう。  なのに直はガバッ、とセーターを脱ぎ、その下に着ているシャツのボタンを外しだしたものだから、雪は慌てて上体を起こし、上裸の直に詰め寄る。  けれど直は言うことを聞かず、シュル、と自分のベルトを外して、ベッドの下に投げた。 「少しも寒くないわ」 「ドアホウどこの女王様よ!?」  スパコン! と叩いた直の顔は当然白く、唇が真っ青である。  ガタガタ震えているし、表皮には鳥肌が浮かんでいる。言葉以外全身で『超絶寒い』と訴えているじゃないか。 「はよ暖房つけよって」 「あかん」 「うおっ!? おま、離せぇ!」 「いやや」 「パンツ丸見えぇぇッ」  誰のパンツがってもちろん自分のだ。  はだけた衣服のまま四つん這いでエアコンのリモコンを探そうとする雪の脚を、寒さにシバリングする直が思いっきり掴んで引っ張った。  おかげでジーンズはずり落ち、雪はマヌケにもベッドに顔から倒れこむハメになる。 「ユキ……逃げんといて……さみしい」 「逃げてんのちゃうねんリモコン触ろう(いらおう)としてんのッ」 「……なんでいらんの?」 「なんで、って……ッく、ナオ、やめぇ……!」  ノシ、と背後からのしかかる直によって、視界が陰った。  片手が雪の左手を押さえ、右手で脱げかけのジーンズが膝まで下ろされる。  そして下着の隙間から入り込む湿った指が、割れ目の奥にねじ込まれた。 「ぅげッ……!? ぁ、なんかあったかい、ッ……き、きもいぃぃ……ッ」 「どうしよ、せまい……オカンの持ってた本やといけそうやったのに……舐めただけやったら、入らへんかも……」 「ンッ……は、えッ? おばちゃんなに、なんの本持ってんよ!? ンッ、ゾワゾワするッ」 「なんやろあれ、かわいいゲイの本……。やっぱしユキの中、湿ってて外よりぬくい。…………いけるわ」 「なにをもっていけると思たんッ!?」  そして直の母親はなんて本をこのバカ犬の目の届くところに置いておいたのか。  グリ、グリ、と狭い器官を拡張しようと体内で蠢く生暖かい指が得もしれない感覚をもたらし、雪は身を固めて縮こまる。  柔らかな体内は表の皮膚より確かにあたたかいが、それでもスライムくらいの感覚だ。  普通の人よりずっと低い体温。  キスをした時に得た生々しい実感。  直の舌や唾液、吐息にいたるまで沸騰し、とろ火で炙られるような気分だった。  キツく拒む内部をまさぐる指だって、頑なな心まで蕩けてしまいそうに熱い。

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