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深くまで
「恭弥!」
「おうっ!なんだよ。走って来たのかよ。」
「はぁはぁ、ちょっ・・はぁ、ヤバっ。」
「良いからこれ飲んで落ち着けよ。」
息を切らし笑顔で俺の名前を呼ぶ愁哉。
愁哉の笑顔を見ているだけで俺は幸せを感じて側にいれるだけでそれだけで今は満足だ。
俺の気持ちを知ったら愁哉はどう思う?
気持ち悪がられて俺から離れてしまうかもしれないだったらこの気持ちは奥底に沈める。
海があったら海底深くまで沈めるんだ。
俺はこれからも愁哉と笑って過ごして生きたいだからこの想いは絶対に知られないようにするんだ。
「おまっ、飲み干したのかよ!俺一口も飲んでない。」
「あっ!わりぃ〜。後で買うから許せよ恭弥。」
「良いけど・・・どうして空の容器を俺に渡すんだよ。」
「恭弥のだったから?」
首を横に傾げて容器を俺の目の前に差し出してくる愁哉。
「イヤイヤ、普通に考えろ。空の容器を返す奴いるかよ。お前はいい加減にしろよ。」
「え〜ッッ。でも優しい恭弥はちゃんと受け取ってゴミ箱に捨てるだろう?」
「うるせっ!もう寄越せよ。」
「ありがとう恭弥。恭弥が女の子なら絶対に惚れてるよ俺。」
女の子なら・・・。
胸が締め付けられるようにギュッと痛み出し目が熱くなる。
ヤバイ。
泣きそうだ。
本当に俺が女の子なら愁哉に告白して付き合えただろうか?
俺が女の子なら・・・・・。
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