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花火
食べ終わり暫くしたら爆音と同時に辺り一面が明るくなった。
花火が打ち上げられて観客の騒ついた声が聞こえてくる。
「花火!すげぇ〜っ!」
「凄いな花火。」
お前の笑顔も花火に負けないくらい輝いている。
キラキラと眩しくて夜を彩る花火のように綺麗でずっと見ていたくなる。
「あっ!ハートだ。」
「可愛い。」
「うん!可愛い。」
俺は思わず愁哉を見て可愛いと言ってしまったが愁哉は花火のハートの形を可愛いと言っていると思ったらしく返事をされてしまった。
「本当に可愛い。」
「何?恭弥!星だ!!」
俺の腕を掴んで花火を指差し夢中で空を見上げる愁哉。
このまま永遠に時間が止まれば良いのにずっと愁哉と2人でこの瞬間を見ていたい。
綺麗に夜空に咲く花火を永遠に愁哉と見ていたい。
儚くも花火の様に一瞬で時間は過ぎていき後少しで2人の幸せな時も終わりを告げようとしている。
夜空には千輪が打ち上げられて華やかに様々な色をした沢山の小花が開いている。
「綺麗だなぁ〜。あっ!俺、あれ好きな花火だ。」
「俺もあれは好きな花火だ。錦冠。」
錦冠は別名『しだれ柳』。
他の花火は直ぐに消えてしまうが錦冠は花弁が垂れ下がり長く夜空を彩る。
本当に綺麗で見惚れてしまう。
愁哉も他の花火より錦冠を見ている時の方が可愛い顔をして笑っていた。
「俺はお前を・・・・。」
ドォーンッッ!
バチバチバチバチ!!
「何?」
大きな爆音と共に最後の錦冠が上がる。
俺はそれに合わせて愁哉に告白をしたのだが聞こえるはずもなく愁哉は首を傾げていた。
見つめ合う2人の間で花弁はゆっくりと垂れ下がりゆっくりと消えて言った。
花火が消えてなくなる様に俺の思いも消えて無くなれば良いのにとそう思った。
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