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寝れない

会議も無事に終わり退社時刻になったので俺は帰ろうとエレベーターホールに近づくと長谷川が女子社員と何かを話していた。 女子社員と話している長谷川を見てチクリと胸が微かに痛むのは何故だ? 「長谷川君も一緒に花火大会に行こうよ。」 「えっと・・・すみません。」 「分かったわ。」 「すみません。」 女子社員に腕を引っ張られて花火大会に行こうと誘われていたが長谷川は断った。 長谷川を誘っていた女子社員は社内の中で一番人気で彼女の誘いを断る男子社員はいない。 けれど長谷川は断った。 それを見て俺は少しだけホッとしてしまったのだそれは何故だか分からない。 「あっ、お疲れ様です。今日はすみませんでした。」 「お疲れ様。気にする事はない。」 「はい。えっと、もう帰られるんですか?」 「用事はないから帰宅する。」 今日は定時で退社して花火大会の会場から遠ざかりたかった。 何故ならあの日の夏祭りを思い出してしまう愁哉との最後に見た花火を・・・。 「藤澤先輩。藤澤先輩!」 「あっ・・すまない。考え事していた。」 「大丈夫ですか?顔色が悪いですよ。」 「大丈夫だ。」 愁哉を失ってから夏になると俺は寝れなくなる。 特に夏祭りや花火大会が近付くと寝ているのか起きているのか分からなくなる時がある。 長谷川はエレベーターに乗り込んでいて扉を開けて待っている状態だ。 他に人が乗ってなくて良かったと内心ホッとして俺はエレベーターに乗り込んだ。

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