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心地が良い
長谷川の姿が見えなくなると俺はゆっくりと改札口に向かって歩き出した。
浴衣を着て幸せそうに話している人達を見るのが辛くて胸が締め付けられる思いだった。
一度は愁哉を忘れようと社会人になってから付き合ってみたがダメだった。
どうしても愁哉の事が頭から離れなかった。
だから俺は新しい恋愛をするのはやめて死ぬまで愁哉を思い続けようと心に決めた。
そう決めていた。
ド〜ンッ!!
花火・・・・・愁哉・・・。
『綺麗だなぁ〜。あっ!俺、あれ好きな花火だ。』
『俺もあれは好きな花火だ。錦冠。』
愁哉は眩しいくらいに笑顔で楽しそうに花火を眺めていて、そうだった最後に俺が告白なんてしたから見れなかったって怒ったんだっけ・・・。
それで来年も花火を見に行く約束をしたんだ。
約束したのに・・・もう愁哉はどこにも居なくて・・・・・。
『俺も同じ気持ちだ。愛してる。』
俺に残した愁哉の気持ちだ。
あの時、愁哉にちゃんと俺の気持ちが伝わっていたんだ。
「藤澤さん?」
誰だ?
視界がボヤけてハッキリ見えない。
「し・・・愁・・・愁哉?」
「藤澤さん!しっかりして下さい。大丈夫ですか!!」
俺はどうしたんだ?
何も見えない周りも静かでさっき迄の雑音とかも聞こえない。
愁哉に呼ばれた気がしたがあの声は長谷川なのか?。
身体がフワフワと宙に浮いている様な暖かくて心地が良い。
ずっとこの温もりを感じていたい。
ずっとこのまま・・・。
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