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何度でも
「どうしてお前までグチャグチャな顔して泣いてんだよ。」
「すびません・・・けど・・・藤澤さんが・・・ううっ・・・。」
「いい加減に泣き止め長谷川。」
もう誰も愛さないと心に決めていたが目の前で俺の為にグシャグシャに泣き崩れる長谷川を見ていたら笑顔にしたいと思ってしまった。
俺以上に顔をグチャグチャにして涙を流している長谷川を見て胸が熱くなる。
この感じは覚えている。
愁哉の事を好きだと意識し始めたそれに似ているそれは長谷川に初めて会った時にも感じた。
きっと俺は長谷川に出会った瞬間に好きになり始めていたんだ。
けれどまた人を好きになって大切な人を失うかもしれないという恐怖から目を逸らして考えない様にしていた。
愁哉の事を言い訳にして・・。
夢の中で愁哉は言ったよな・・・。
『お別れだ恭弥。幸せになれ!』
愁哉、俺は大切な人が出来たんだソイツを幸せにしてやりたいけどいいかな?
きっとお前なら許してくれるだろ?
目の前で俺の為に泣き崩れる長谷川を幸せにしたいんだ愁哉。
俺は握り締められた長谷川の手を引っ張ると倒れ込む様に俺の腕の中に長谷川の身体が入り込んでくる。
「もう泣くなよ。俺の為にありがとうな長谷川。」
「ふ・・藤澤さん?」
「好きだ長谷川。」
「えっ?」
思いもしていなかった俺の言葉に長谷川はビックリして声を裏返している。
「好きだ長谷川。まだ俺に言わせるのか?」
「えっと・・・はい。」
「分かった。長谷川の気が済むまで何度でも言ってやるよ。」
長谷川が笑顔になるなら何度でも言ってやる。
ほらっ、俺の腕の中で長谷川が笑顔に変わって行く幸せそうに照れ笑いをしている。
好きだ・・・。
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