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11話 conflict

 出来上がった雑誌(リューレント)が家に届いたのは、撮影から二週間後のことだった。この短期間でよく今月号の発売日に間に合ったなと、啓介は感心しながらページを捲る。どうやら他のページは既に校了作業に入っていたらしく、あの日撮った写真だけをレイアウト通りに流し込んだらしい。  届いた雑誌を自室のベッドの上でいつものように眺めていた啓介は、真ん中あたりのページに差し掛かった瞬間、声にならない声をあげた。驚き過ぎて思わず手を離してしまい、仰向けに寝転んだ状態の顔の上に勢いよく雑誌が落ちる。 「痛っ!」    痛みと驚きで混乱し、暫く雑誌を顔の上に乗せたままの状態で固まった。  永遠と快と三人で撮った写真が載っていると言う事はもちろん予想していたが、しかし今見たのは一体何だ。  恐る恐る雑誌を拾いあげ、呼吸を整え再びページを開く。  そこには啓介一人で撮った写真が、一ページまるまる使って大きく掲載されていた。挑むような強い目線で、口元には薄っすら笑みを浮かべている。それはまるでアートフォトのような仕上がりで、客観的に見たらとても良い写真だった。ただ、それが自分自身となると、途端に羞恥に苛まれる。 「なんでぇ? あれってカメラに慣れるための、試し撮りだったんじゃないの?」  上ずった声で不満を並べ立てていると、丁度よく倉持からの着信があった。素早く電話を取り、相手が話し出す前に「ねぇー、どういうコト?」と文句をぶつける。 『お疲れ様です……って、ええ? どうしました』 「僕、あの写真使うって聞いてないんだけど」 『いえいえ、バッチリ了承してくれたじゃないですか。撮影直後に加勢さんに聞かれて、「好きにしていいよ」って言ったの、覚えてません?』  そう言われて記憶をたどる。撮影直後、アドレナリンが過剰分泌されていた時に、確かにそんなことを言ったような気もする。啓介は唸りながら「でもあんなにおっきく載ると思わなかった」と拗ねたような声色を出した。

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