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第15話

廊下に出ると、数人の俺達と同い年くらいの同じ顔の奴らや似たような顔の奴らが食堂に向かって歩いていくのが見えた。 「本当に双子とか兄弟ばかりが集められているんだな。」 相手にバレないように周囲をチラと見ながら二人に囁く。 二人も俺と同じようにして視線を走らすとうんと頷いた。 自分も双子だが、俺は他の双子を見たことがないので、双子がこんなにも集まっている環境に少し好奇心を覚えた。 「よくも集めてきたもんだな。」 兄貴もやはり興味津々と言う顔でチラチラと周囲に目をやっている。 「そんなに見たらバレるよ!」 月が周囲を気にして兄貴の腕を引っ張った。 それを悪い悪いと言って笑いながら、でも俺も双子だったんだよなと天井を見ながら呟いた。 「あ……」 俺も月も言葉に詰まり足が止まる。 数歩先を歩きかけた兄貴が俺達の足が止まったのに気がついて後ろを振り返り、俺達を見て参ったなという顔をする。 「あ、悪い。違うんだって。別に気にしているわけじゃないんだ。ただ、事実としてそうだったんだなって思ってさ。死んでいるって聞かされても、母さんのお腹の中での記憶を持っているわけじゃないし、現実感は全くないんだ。ただ、いたんだっていう事が事実としてあるって感じでさ。うまく言えないんだけど、気にはしていないから大丈夫!そんな変な顔すんなって!」 ほら!と、俺達にさっさと来いよというように手招きする兄貴に、月と顔を見合わせて駆け寄った。 「なんかあったらすぐに言ってくれよ?」 俺の言葉に月もそうだよと頷く。 そんな俺達に生意気なやつらめ!と言って頭をぐしゃっと撫でた兄貴の手が少し震えていて、俺はそんな兄貴を守りたいと強く感じていた。

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