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第20話

「やだ……やめろ……陽、やめっ!」 パシっという音と共に頬に熱さが走り、それからジワーとした痛み。 「ごめ……ん。」 俺を叩いた手をもう片方の手で握りしめ、俺から目を逸らす。 「謝るなよ。これからもっと酷いことをするんだからさ!俺は空に叩かれても殴られても止める気はねぇ!本当に嫌なら、俺のことを殺す覚悟で抗うんだな!」 空が握りしめた手をそのまま片手で掴み、空の頭の上のテーブルに押し付ける。 「痛いっ!陽、痛いよ!やめてよ!」 空の半泣きの顔が可愛くて、今までそんな感情ひとつ持たなかったのに、これが運命の番っていうことなのかと変に納得しながら俺は空をあいている手で抱きしめた。 「空、スッゲー可愛い。なぁ、俺の事を 弟って思わないでくれ。俺ももう空のこと兄貴だって思わない。俺の空だ。俺の番の空だ。なぁ、いいだろう?俺、空にこんなに欲情してる。空だってヒートだからだって言い訳してもいいけど、こんなにここを反応させてる……だからさ、これは辛いのを楽にさせるための行為なんだ。な?分かるだろう?」 「分かる訳ないだろう?!俺は今でもお前の兄貴で、家族だ!弟と思うな?そんなの無理だよ。大体、楽にさせるだけって言うなら……自分でだって……できる。」 顔を真っ赤にして言う空に、俺の下半身が反応する。 「空って、こんなに可愛かったっけ?やべぇ、どうしよう?マジで孕ませたい!空に俺の子供孕ませたい!ダメだ!もう我慢できない!」 俺の言葉に空が何か叫ぶが俺にはもう聞こえなかった。 唇を合わせ、さっきの双子がやっていたように舌を絡めると、空の体がピクっと反応して身を捩り出す。 「ん……やめ……んん……」 途切れ途切れに聞こえる吐息と嫌がる声が俺の心を煽っていく。 足を動かして俺の下から抜け出そうと必死なところも、寧ろ逃がさねぇよと言う気持ちを湧き立たせ、空の手首を握る手に力が入った。 「痛いっ!!」 叫ぶ空の声にも俺は欲情しか感じず、痛めつけ感じさせて空を支配したいと言う気持ちが湧き上がってくる。 「逃げても無駄だよ、空。扉の向こうにはJと男達が待機してる。逃げても俺の所に再び連れて来られるだけだ。空に逃げ場はないんだよ。」 俺の言葉に空が嗚咽と一緒にやめてと抗いの言葉をあげる。 「泣くなって。泣いても何も変わらないし、もう観念しなよ?痛いの嫌だろう?腕、離してやるから逃げるなよ?逃げたら、あいつらの前でする羽目になる。分かるよな?」 「う……うぅ……ん……」 泣きながらも頷いた空を見て、ゆっくりと慎重に掴んでいた手を広げていく。 「陽……俺、逃げないけど、やっぱり嫌だ!こんな事、母さん達が知ったら、俺もう……母さん達に会えない!」 空の言葉に泣きながら別れた両親の顔が浮かんだ。 それでもそれは俺の枷にはまったくならず、ただ目の前にいる空と番になることしか俺には考えられなかった。 それに、そんなの今更だろう? 「はぁ?母さん達はだから嫌がったんだろう?とっくにそう言う事になるって知っているから、あんなに絶望していたんだろう?大体さぁ、空、俺達は番としてここに連れて来られたんだ。家でもし兄弟でそんな事になったらそれこそ周囲の目がヤバすぎるからこうやって俺達は守られている訳じゃないか。今更、そんな話……何の枷にもなんねぇよ!」 言いながら今までは訳も分からなかった事、思いもかけなかった事を瞬時に理解し納得していく自分に驚いていた。 まるで今までは何も考えていなかったのではと疑う位に、ごちゃごちゃだった頭の中はどんどん整理されていき、今まで習った授業や様々な情報が全てすっきりと棚に収まっていくようだった。 これがαとして覚醒するって事か.。 目の前で泣きながらも逃げないと言った約束を守って震えている空の服を一枚ずつ脱がしていく。したことのない行為でも、今の俺なら、αの俺なら全てがうまくいく……イヤ、うまくいかないわけがない! どこから湧いてくるのかもわからない自信に満ち溢れ、俺は空の嫌がる手を掻い潜りながら着ている物を全て脱がせた。 「もう、逃げらんねぇよ?大体、弟とか言うけど、そんな弟に組み敷かれて裸にされて、それでもし逃げられたとしてどこに逃げる気?まさかだけどあの部屋?もしこんな真っ裸で部屋に逃げ込んだらさ、月がどう思うんだろうね?そんな反応しまくってるモノ見せたら、月だって何が起こったかすぐにわかっちゃうよ?」 「やめろ……」 ギリっと睨みつけた空の目に征服欲を感じてブルっと身震いしながら自分の服も脱ぎ払うと、空に跨ってその首に舌を這わせ、そのまま下へ下へと下がっていった。

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