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第39話
俺の下で快楽に喘ぐ月。その体のどこをどうすれば月が気持ち良くなるのか手に取るように分かる。
「俺達はやっぱり運命……なんだね。あっ!そこも……っとぉ!俺の気持ち……いいとこ……分かるん……はぁっ!あ、そこも……いいっ!あぁっ!!」
「あぁ、月の気持ちいいところ、手に取るように分かる。ほら、そろそろほぐす……おい、なんだこれ?」
くぷっと指が月の体内に簡単に入っていく。2本3本と増やしていくが、緩んだ穴はまったく抵抗なく俺の指を飲み込んでいく。
「だぁってぇ、しょうがないじゃないかぁ!陽がいなくなったベッドで陽の匂いに包まれたら、手が勝手に動くんだから。兄貴の喘ぎ声にも煽られちゃったし……あぁっ!!」
入れた指を思いきり引っこ抜いて、再び奥まで突き刺す。
「何?あぁっ!やめっ!!ぃあああっ!」
さっきまでの甘い声とは違い、雄の叫びが部屋に轟く。
「うぁあああっ!!」
「すっげー声だな。まったく、俺のいないベッドで二人して何やってんだよ?まさか、入れ合ったり……したのか?」
この穴にさ、と指で奥までぐりぐりと抉っていく。
「あぁああああっ!!してない!!そんな事……うぅぁあああああっ!!」
「本当かなぁ?この飲み込み、緩み方……指だけかぁ?」
「違っ!!そこぉ!ダメって……ぁああああっ!!」
びくんと月の体が跳ね、腹に温かさが広がる。
ぬるっとした体液を指で拭うとぺろっと舐めた。
「にげぇ。くくっ……思い切り射精したなぁ?おい!へばってんじゃねぇぞ……これから……だろ……っ!?」
何か動くものを目が捉え、そちらに向くと画面が見えた。その中でこちらを凝視する目。
「あっ!ぁあ……やめろ!そんな目で見るなぁ!!」
一気に醒めていく体。月から離れてPCに手をかけようとしたところを、大男の手がそれを遮った。
「Jからの命令だ。この男に番の証人になってもらう。手を退けてさっさと戻れ。」
ピキンとこめかみの血管が鳴った。
「お前、αの俺に命令するのか?」
相手は俺よりも圧倒的に大きく力も強い。だが、αと言う性はそれをなんて事のない事だと認識した。
Ωはαに手出しはできない。
Ωにαが勝てないわけがない。
そんな訳のわからない自信が俺の中から湧いてくる。
「αとしての命令だとしても、最上命令がJのものである事に変わりはない。退く事はしない。」
大男はそう言って俺とPCの間に体を入れた。
「それに……まだまだ覚醒半分のα様じゃ、俺には勝てんよ?勝ちたいなら、俺に命令したいなら、さっさと番になって全覚醒するんだな?まぁ、それでも俺に命令できるのはJだけだが……ハハハ!」
ドンと胸を手で押され、ソファでこちらを見ていた月の体にぶつかる。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃねぇよ!くそっ!!おい!さっさと番うぞ!!」
ぐいっと月の腰を掴んだ時、再び視線の端が動いた。
「あぁっ!くそっ!!」
見ればそこに悲しそうな顔の先輩が俺を蔑むように見ているんだろう。分かっていても首がそちらを向いた。
「え?!せんぱ……い?」
そこに映し出されていたのは、俺を蔑む顔ではなく、快楽に喘ぐ顔。
「先輩に何をしてる?!」
驚きに月の腰から手を離してPCを両手で掴み、その音量を大きくする。
「はぁああっ!!っくぅ!イっちゃ……イく……ぅあああああっ!!」
先輩の拘束された体がのけぞり、画面に白い液体が飛んだ。
「せん……ぱい……」
「お前らのを見て勃っちまったからさ、向こうの係員が気を利かせたんだろうよ!」
「嘘だ!!これもJの思惑だろう?あんなところを見せられたら、勃つのなんか当たり前だ!!そうやって俺に先輩のあられもない姿を見せて、諦めさせようって事だろう?っざけるな!!今すぐに先輩を自由にしろ!!……もう、諦めたから……これ以上先輩の体に触れるな!!」
「それはできませんよ。」
スピーカーからJの声が唐突に流れてきた。
「お前っ!!いい加減にしろよ!!先輩を離せ!!」
俺の怒号にもJはまったく相手にせず、冷たく言い放った。
「そうやって気にすると言うのは未練のある証。それが心の枷となり、覚醒を妨げているなら、排除するが当然。さぁ、先輩もこんな程度では我慢できない様子……ヤラセテアゲナサイ。」
まるで気持ちのない言葉を最後に、音が途切れた。
と、すぐに画面からは嬌声が聞こえ出した。
「ぁあっ!!すごい!!もっと奥までぇ!!」
見知らぬ男が先輩に跨り腰を振っていた。
「くぅっ!すげぇ!!はぅっ!!」
「もっと奥まで!!突いてぇ!!」
居た堪れず、PCの音量を下げる。
「もう……分かった……もう……」
月に向き直ると、月が優しく微笑んで両腕を広げた。
俺は何も言わずにその中に吸い込まれ、月の体と溶け合っていった。
「かん……で……陽。」
月の体を抱き、そのうなじに歯を当てる。ちらと視線をPCにやるが、そこでは今も痴態が繰り広げられていた。
「見てろよ!!見ろぉおおおお!!!」
悲鳴のような叫び声にビクッと皆の動きが止まる。俺はその瞬間に月の柔らかい肌から流れ込む甘い匂いと混ざった錆びた鉄の匂いを嗅いだ。
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