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第45話
真っ白なシーツに血が滲んでいく。
月が俺の上で息を荒くして、意識を手放そうとしていた。
空はとっくに俺たちの足元で、うずくまるようにして寝息を立てている。
「なあ、Ωは結局のところαなら何でもいいんだよな?」
「んあ?」
何?と言いたいんだろうが、既に半分以上睡魔に乗っ取られている頭では口もろくに動かせない。
「何でもねぇよ。さっさと寝な!」
乗っかっている月をごろんとベッドに転がして起き上がる俺に痛いなぁとぼやくが、そのまますやすやと寝息が聞こえ始めた。
「はぁ。」
またやっちまった。
嫌がっても泣いても抵抗はしない。
Ωの愛は番であるαを受け入れる事。
分かっていたんだ。本を読み、色々と調べた。
だからこそ俺は、こいつらの気持ちが分からない。
部屋着を掴んでシャワーを浴びる。熱い湯と共に洗い流されていく2人との行為。
全てが嘘のように、実感もなく、排水溝に流されていく。
「どうしたら……先輩……先輩……早く来てよ。」
Ωでもαでもない本当の愛。
先輩が来てくれれば俺はその愛に包まれて、幸福になれる。
きっと番達の事も優しく愛せるようになる。
この支配欲も征服欲も独占欲もなくなるとはならないかもしれないけど、少しはマシになるはずだ。
シャワーを止めて部屋着に着替えると、俺のベッドを占領している2人の体を熱いタオルで拭き、重い体に部屋着を着せて、俺を真ん中に挟ませるように3人並んで眠りについた。
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