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第48話

嫌な予感がする 何でだ? 何なんだよ?! 俺は先輩をずっと見てるのに、なんで先輩の瞳に俺は写っていない? 空が笑ってる 空が先輩の瞳の中で笑っている 俺を見て! 俺に触れて!! ぎゅっと握った手にビクッと体を揺らした先輩が俺の手を振り解いてから、ハッと気がついたように何?とぎこちない微笑みで尋ねてきた。 俺の事を見てよ!!! なんて言えないから、ただ首を振った。 「なんでもない。」 「そうか?」 そう言った先輩は、俺を見ながらもチラチラと空を盗み見てる。 流石に月も先輩の様子のおかしさに気が付いてはいるようだが、どうしたらいいのか分からず、狼狽えた視線が部屋の中を彷徨っている。 「さて、片付けの残りをやっちゃわないと。」 笑っていた空が、そう言って荷物を持とうとした瞬間、俺の手が先輩の袖の裾を握ろうとしたのを避けるかのように空の元に駆け寄り、その手から荷物を受け取った。 「え?!」 突如目の前に現れた先輩に空が目を見開いた。 「俺が持ちます。どこに置いたらいいですか?」 そう言って、荷物を持って空に置き場所を尋ねた。 「じゃあ、それは僕のだからあの向こう端の棚に置いてもらえる?君は陽の隣のこのベッドと机。勉強はΩ学級で受けるみたい。僕と同じクラス編成かな?ここは生徒数が少ないから複数学年が合同で授業を受けるんだ。」 「空さんと同じクラスか……嬉しいな。」 先輩の声は本当に嬉しそうで、楽しそうに談笑しながら寝室の方にそろって歩いて行く2人の間に割り込めるような雰囲気ではなかった。 「あ、陽?何しているの?せっかく会えたのにそっちの方にいて。早くおいで?」 空の無邪気に俺を呼ぶ声に、俯いた顔を上げることもできず、背中を向けて部屋から出た。 「陽っ!!」 月が追いかけてくるが、俺は足を止めずに歩き続けた。 先輩と空から遠く離れたところに行きたくて、楽しそうな2人の姿を見たくなくて、ただ歩き続けた。

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