部屋というより、家に近いそこに4人で入るとすぐに先輩が俺の腕を引っ張った。 「何ですか？ベッドまで待てない……とか？」 俺の嫌味が分かっている月はまたかと天井を見上げてソファに座ってため息をつく。しかし空にはそうは聞こえないらしく、仲良いねぇと微笑む空の言葉に先輩が慌てて手を離して、いや、これは……なんてどもって言い訳もうまく言えてない。 言えたとしてもなんと言う気なんだか。 離れた手を今度は俺が握り、空いている手では空の手を握った。 「ベッド、行くだろう？」 空に尋ねると、真っ赤な顔で頷く。 「先輩も、行きましょう？」 俺の言葉にこちらは空とは真逆の青い顔で俯いた。 「陽！まずはさ、先輩と話しなよ？」 こちら側に向けた体をソファの背もたれにもたれかからせた月が、俺にいい加減にしなよという顔で言った。 「話？何を話すんだよ？！先輩は俺の為にこの施設に呼ばれて来たんだ！いいか？それ以外の事だったら先輩はこの施設の存在すら教えてはもらえていなかった。今更、話なんてない！先輩がすべき事は、二人の運命の番を抱えた俺を癒す事だ！月、俺に何か言う気なら……」 俺の迫力に月が分かったよとソファーから飛び降りる。 空は俺の言っている意味が全く分からないという顔でオロオロと俺と先輩の顔を心配そうに見つめている。 先輩は…… 唇をワナワナと震わせ、何かを言いたそうだがごくんと言葉を飲み込んだ。 「ごめんって！陽、ごめん！！謝るから機嫌直して……早くシよ？」 空と先輩の手を握ったままで立っている俺の前に月が駆け寄ってくると、そのまましゃがんで俺の股間を布の上から咥えた。 熱い息がかかり、腰が引ける。 「おまっ！」 引き離そうとするが、両手を俺の腰に回し、器用に口でジッパーを下げ、既に少し反応し始めている俺をベロンと舌で舐め上げた。 「面倒くさい事は考えんのやめてさ、早くこれで気持ち良くしてよ。」 ピチャピチャと音を出して舐める月に、空の顔は火照りゴクリと喉を鳴らす。 先輩も目の前で行われている行為にどうしたらいいのかわからず立ち尽くしていた。 ふっと笑いが漏れ、先輩の手を離すと空をぐいと引っ張ってその耳に囁いた。 「月よりも先に欲しいんだろ？」 ハッとした顔でこくんと頷いた空が、そのまましゃがんで躊躇う事なく月と一緒に俺をしゃぶり出した。 「陽、欲しい……ひょーらい？」 口に頬張った空が甘ったるい声を出す。 「いいよ……自分で脱いでここに手をつけよ？ほぐしてやる。」 ソファーの背もたれを指差すと、ささっと着ている物を脱ぎ捨てて言われた通りに手をついて腰を突き出した。 「空、先輩の前ではしたねぇぞ？」 ククッと笑うと、だってと顔を赤くして頬を膨らませた。 「陽と月がいなくなっていた間、二人で気持ちいい事してるんじゃないかって思ってたから……それで、その……」 最後は言葉を濁して、俯いた。 「月、お前も脱いで手をつけよ？」 俺の言葉に月も分かったと頷いて立ち上がると、躊躇いなく服を脱ぎ捨てて空の隣に手をついた。 呆然と立ち尽くしている先輩の手をぐっと引っ張って、戸惑っている間に下半身の身につけているものを引き摺り下ろすと、誰のでそうなったのか、既に熱く硬くなったモノがぶるんと顔を出した。 「……先輩も早くここに何をシに来たのか思い出して下さい。先輩がその熱いモノで気持ち良くするのは誰でしたっけ？」 そう囁くと、既に我慢できずにひくつき俺を受け入れるための体液を垂らしている二人に俺も着ているものを脱ぎ捨てながら近付いて、指で二人をほぐす。 クチュクチュという音と二人の甘い喘ぎ声に俺も気持ちが高揚していき、まずは約束だからなと空に近寄って腰を近付ける。 解さなくても十分に俺を受け入れられるそこに先端をぬぷっと当てがうと、まるで飢えた魚のようにパクパクと俺を飲み込んでいく。 「んぁあああっ！！」 背中がのけ反って甘い叫びが部屋に響いた。 ぐぐっとこしを空の腰にくっつけながら、ぬぼーっと立っている先輩に声をかける。 「先輩……俺にちょうだい？」 俺の言葉に虚ろな目をした先輩が、まるでスローモーションのように空に挿れている俺にゆっくりと近付いて来た。 「解さないと……」 先輩がそれでも躊躇するのを俺の一言がその背中を押した。 「もう、ほぐしてあるから……早く……」 くいっと腰を持ち上げると、この時の為にとドキドキしながら仕込んだローションが足を伝っていった。 でも今となっては、これは罠……先輩を突き落とす為の。 ごくんと鳴らした喉。体内にかかる圧と痛み。 「ん……くぅうううっ！」 我慢できなかった苦痛が声として漏れた。 と、同時に…… 「ぃあああああああっ！！」 俺への圧迫感が空の奥を抉った。 ビクッと腰を引こうとする先輩の腕を握って引き止めると、静かに呟いた。 「俺を通して、空を感じさせてやれよ？」 俺を凝視する目。青くなる顔。一気に俺の中が空っぽになっていく。 それをお構いなしに俺は腰を振り空の中を俺で満たしていく。 突如、甘い声を響かせていた空とは違う声が部屋に響いた。 「くぅああああっ！！」 自分の声とは思えぬ声。掴まれた腰と圧迫感に体内が悲鳴をあげる。 「ふっ……ハハハハハ！！」 笑いながら腰を振る俺の頬を涙が伝っていく。 熱い腹とは逆に、冷めていく心。真実だと思っていたはずの愛は俺の手からこぼれ落ちていった。