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第3話
「バーラ、きれいなお花持ってどこ行くの?」
弾む、歌うような口ぶりで呼び止められた。
まだ8歳のバーラは、自分より10年も年上の男の幼稚さに、日頃から呆れていた。
聖獣・マーオの神騎士ニネット。
立派な大人が、子どもの僕に向かってご機嫌をとることばかり言ってくる。
一緒に遊ぼう、イイもの見せてあげる、お小遣いあげようか。
解かってる。
ニネット様が僕にこういう事を言うのは、つまり。
ため息をついてしまう。
幼い頃から、可愛い、綺麗だ、美しいと、その顔や姿形を褒められて育ってきた。
そしてそれは罪のないものと、性的な意味合いを含ませるものとに分けられる。
要するに、人気のない所へ連れて行かれて、いたずらをされる、という事だ。
「お兄さんと、イイことして遊ぼう」
こんなニネット様について行ったら、どんな目に遭うか。
「ニネット様は、エッチだから教えない」
「俺、エッチなんかじゃないよぉ」
バーラを茶化すように、イヤらしい笑顔のニネット。
少年特有の潔癖さと、親しみやすい大人への馴れ馴れしさでもってそう答え、バーラは先を急ぎ始めた。
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