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第6話

 夢見心地で法皇神殿から退出したギルは、自分を呼ぶ声に我に返った。  神騎士候補生のバーラが、花束を抱えて立っている。 「ギル様。このたびの御活躍、おめでとうございます」 「バーラ」  ぼうっとして歩いていたギルは、バーラの姿を見ると、穏やかな笑みをたたえ返事をした。 「これ、お祝いです。お受け取りくださいますか」 「綺麗だ。ありがとう、バーラ」  まさに花のような笑顔を見せて、ギルは花束を受け取った。  ああ、ギル様はやっぱり。  ギル様は、素敵なお方。  この優しいお顔、慈しみ深いお声、穏やかな身のこなし。  僕は、このお方が大好き。  いつものように手を繋ぎ、身を寄せようとしたバーラは、いつもと違うものを彼の指に見つけた。  繊細な透かし彫りと、石の煌く大きな指輪。  バーラは目を輝かせた。 「なんて見事な。ギル様、この指輪はどうなさったのですか?」  その途端、バーラを包む空気が一変した。

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