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第7話

「触るなッ!」  雷のようなギルの大声が頭上から降ってきて、バーラはもの凄い力で跳ね飛ばされた。  ギルがその手を振るう時、指先はひどくバーラの頬を叩き、地に倒れた後もびりびりと痛みが残った。  触るな。  これは私の、私だけのものだ。  私だけが、法皇様より賜った忠誠の証なのだ。  氷のように冷たいまなざしが、ひどくバーラの胸に刺さった。  すぐに正気を取り戻したギルは、慌ててバーラに手を差し出した。 「すまなかった、バーラ。大丈夫かい」  しかし、バーラはその手を取ることができなかった。  その場に座り込み、震え、怯えた目を伏せていた。  ギルもまた、突然にこの身を走った激情にうろたえており、そのまま立ち去ることにした。 「ちょっと、急ぐんだ。また後で会おうね」  大股で歩くギルの足は、放り出された花束をまるで気づくことなく踏みにじってゆく。  それを茫然と見送った後もバーラは動くことができず、また泣くこともできず、しゃがみこんでいた。

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