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第8話

俺は、止めることしかできなかった。今の四季に対して軽い口調で「明日にはきっと良いことがある」なんて俺にはとても言えなかった。  俺が止めるとね、四季は泣くんだ。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいって。泣いて謝るんだよ。  俺はどうすることも出来なくって、ただキツく抱きしめてた。あのときの俺にはそうすることしか出来なかった。  今でも考えることがある。あの時本当はどうすれば良かったんだろうって。きっと正解は無いんだろうね。そうじゃなきゃあの時の俺らは浮かばれないから。 一緒に暮らして一年経った頃、四季は昏睡状態に陥った。

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