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 ―― 日常の快楽(2)

 最初は遠慮がちに触れた指先が、何が面白いのか、さほど肉の付いていない薄い尻臀に食い込んでくる。  少しの痛みに僕は唇を噛み締めた。  振り向いて顔を見てやりたいのに、男は左肘を窓に付いて、身体ごとドアに押さえ付けられて身動きがままならない。  僕の両隣には、同じ学校の制服を着た長身の二人が窓に肩を凭れさせ、僕に背を向けて立っている。  一人はイヤホンから漏れ聞こえてくる、耳触りな音に身体を揺らせてる。  反対側のもう一人は、何やら携帯を弄ってる。  3人の男に囲まれて、誰からも見えない死角。  手の動きは徐々に大胆になっていく。  伸びてきた右手が、ブレザーの中に滑り込み、シャツの上から胸を弄り始めた。 「…… ん……」  思わず漏れてしまった吐息を隠すように、僕は額を窓にくっつけて俯いた。  僕の吐く息で、車窓が曇る。  俯いたままじっとして、助けを呼ぶ声も出せずにいるのをいいことに、男の手はシャツの上から尖りを容易く見つけて摘みあげる。 「…… っふ……」  ピリッとした痛みに耐える為、またキツく唇を噛んだ。 「…そんなに噛んだらケガするよ。」  突然耳元に、湿った息と共に小声が届いて、思わず身体を震わせてしまう。  男は、ふっ…… と息を吹きかけながら笑い声を漏らし、胸を弄っていた手を引き抜いて下へと移動させる。  そして制服のズボンの上から、僕の中心を撫で上げた。 「…… ぁ……」  焦らすように身体を触られ続けて、僕のそこはさっきから反応し始めていて、もっと強い刺激が欲しいと訴えるようにトクトクと脈打った。  男の吐く濡れた息が僕の髪を揺らす。  そして、後ろから硬いものを腰に擦り付けながら、制服のズボンのファスナーを下ろして、中へ手を忍ばせた。  下着の上から硬く主張しているモノを、大きな手が包み込む。 「…… ん、ぁ……」  ぞくりと全身が粟立って、どうしようもなく期待に漏れてしまう声は、車輪の軋む音にかき消された。  緩く動く手がもどかしくて、腰が揺れてしまう。  ―― もっと…… 強く…… もっと…… と。

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