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 ―― 愛執(2)

「貧血で倒れたそうじゃないか。 大丈夫なのか?」  長い指で僕の頬に触れながら、心配してくれる。 先生は本当にそれだけしか話していないようで、少しホッと胸を撫で下ろした。 「大丈夫だよ。 大げさだな、わざわざ電話してくるなんて」 「本当に? でも、気をつけないといけないな」  言いながら、父さんの繊細な指がまたシャツのボタンを外そうと動く。 「―― 待って……」  慌てて僕は、その手を軽く押さえて止めた。 今日はシャツを脱ぐのはまずい。 「どうした?」  動きを止められて、父さんは少し不服そうに僕を見上げた。 「今日は…… 僕が父さんを気持ちよくさせてあげたいから」  そう言って、僕は父さんのシャツのボタンを外していく。  一つずつ外すたびに、綺麗に筋肉の付いた身体が徐々に見えてきて、僕の頭は期待でいっぱいになる。  その胸にそっと手を這わせて、唇を寄せて口付けると、優しい手が僕の髪を撫でた。  くっきりと割れた腹筋になぞるように舌を這わせて、父さんの身体を下っていく。  僕は膝から降りて床に跪き、ズボンの上から硬く主張しているそこに口付けた。  布越しに熱く滾る塊を口に含むと、「…… 伊織」と、咎めるように頭の上から吐息混じりの声が落ちてきた。  それでも僕は、何度も何度も、硬く盛り上がっている部分に布の上から口づけていく。  布越しでも分かる、熱い温度とその形を沿うように食みながら。 「…… 悪い子だ」  父さんはそう言って、僕の髪に指を挿し入れて、後ろへ流すように梳いてくれる。  喜んでくれているのかな。 そう思うと嬉しくて、もっと気持ち良くなってほしくて、父さんのズボンの前を寛がせた。  熱く脈打つ逞しい幹に指を絡めて、顔を近づける。 久しぶりの父さんの匂いを胸一杯に吸い込むと、それだけで絶頂感を覚えてしまいそう。  先端に生まれた雫を舐めとると、またすぐに新しい雫が生まれる。 雫を味わいながら、先端からゆっくりと呑み込んでいくと、落ちてきた熱い吐息が髪にかかった。  感じてくれてることが、凄く嬉しい。 もっと、もっと感じて欲しくて、僕は喉に当たるまで熱くて太い昂ぶりを飲み込んでいく。  限界まで呑み込んでも全然覆い切れない幹の根元を手で扱きながら、頬を窄めて頭を上下させた。  父さんが教えてくれた通りに、感じるところに舌を這わせながら吸い上げると、咥内の熱い塊が脈打って、また硬度を増した。  思い切り奥まで頬張ると苦しいけど、硬い先端に喉奥を擦られる内に、それがだんだん良くなってくる。 きゅうっと下腹が熱く疼いて、僕は上下させる速度を速めた。 「…… ん…… ふ…… っん……」  徐々に荒くなっていく父さんの呼吸と、僕の唇から漏れる声と、淫らな水音が部屋に響き始めていた。

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