26 / 330
―― 愛執(5)
先端をあてがって、息を吐きながらゆっくりと腰を沈めていく。
「…… っ……」
乾いた入口は、簡単には受け入れる事が出来なくて。 周りの肉を僅かに引き摺りこんで、痛みにきつく目を瞑った。
太く熱い先端が、入口をキリキリと押し広げる。
「…… 痛いか?」
「…… っん…… っあ……!」
突然腰を掴まれて、下から突き上げられた衝撃に、背中を反らした。
「―― っーーあぁーーーーッ」
熱い杭が、一気に僕の身体を穿つ。
後ろへ仰け反って父さんの目の前に差し出す形になった胸の尖りに、歯を立てられた。
「…… ッン…… ん、あ…… あッ」
僕の声は、いっそう高くなる。
貫かれた衝撃と、甘い痛みと、愛する人と繋がることが出来た喜びに、歓喜の声をあげるように。
「伊織、自分で好きなように動きなさい」
父さんはデスクの上に手を伸ばし、置いてあったブランデーをグラスに注いで、僕に視線を向けた。
鋭い瞳と、低い声にゾクゾクする。
僕は言われた通りに、父さんの首に両腕を回し、ゆっくりと腰を揺らした。
父さんは、片手を僕の腰に添えて、ブランデーを一口喉へと流し込む。
膝の上で、淫らに動く僕の顔を、じっと見つめる父さんの瞳と視線が絡んだ。
「気持ちいいか?」
―― 気持ち、いい……。 と、声は出さずに頷いた。
動く度に父さんの先走りが僕の中を濡らしてくれる。 そう思うだけで、後を引いていた挿れる時のあの引き攣ったような痛みは、快感に変わっていった。
「…… っん、…… あ…… は…… ッ……、」
湿りを帯びてきた僕の中から、クチュクチュと小さい音が聞こえる。
腰を支えていた父さんの手が肌の上を滑り、胸や背中を撫でるように愛撫されて、ぞくぞくと甘い痺れが全身を駆け抜ける。
父さんはブランデーをまたひとくち口に含むと、その手を僕の後頭部にに回して、引き寄せる。
重なった唇から、ブランデーが僕の咥内へと流し込まれた。 こくりと飲み込んで、アルコールの温度が喉を通り過ぎた後に、父さんの舌が僕の咥内へ入ってきた。
深いキスを交わしながら、僕は自分の好きなところに、父さんの杭が当たるように腰をくねらせる。
「…… っ…… ん、…… ぁ…… っ、」
重ねた唇の隙間から漏れ聞こえるのは、僕の声だけ。 いつだって熱くなるのは、僕だけなんだ。
ともだちにシェアしよう!