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 —— 愛執(23)

「あーー、何だよ、マジにやってんだ!」  さっき菜摘ちゃんを追いかけて行った男の声が聞こえてきた。 「んだよ、悪いかよ」  別にいいけど……と、返ってきた不貞腐れ気味な声に、菜摘ちゃんは無事に逃げられたんだと、少し安心した。 「おい、あの女どうした?逃げられたのかよ」 「あー、階段下りたら、もう人混みに紛れて…… な」 「ちっ、クソが!」  そう吐き捨てるように言うと、男は突然僕の前髪を掴んで後ろに引いた。 「あ……、」 「おい、もういい。 早くやらないと、逃げた女に助けでも呼ばれてたらヤバいからな」  唾液と先走りで濡れた男の塊が、咥内から糸を引きながら出て行く。  きっと、菜摘ちゃんが助けを呼んでくれているに違いない。 だから、これでやっと解放されるんだと、思っていた。  だけど、そんな考えは甘いんだと、男に押し倒されて、すぐに思い知らされる事になる。 「あ……、なっ …… なに!?」  男は僕の浴衣の裾を捲りあげて、下着を剥ぎ取り、足を大きく押し広げた。 「何を今更驚いてんだよ。 男だって挿れるとこがあるだろが」 「や…… ? ——っ、いやだーーっ!!」  男の硬く熱い先端を押し付けられて、恐怖で身体が強張ってしまう。 だって、そんなところにそんなもの入るわけがない。  だけど男は、そんなこと気にもしない様子で、僕の尻臀を広げて、グイグイと先端を押し付けてくる。 「や、やめて! やめて! 痛っ!」  必死で男の身体を手を伸ばして押し退けようともがいても、びくともしない。 「おい、コイツの手、暴れないように押さえとけ」 「お前、本気かよ……」  もう一人の男は、少し呆れた声でそう言いながら、僕の頭の方に腰を下ろして、抵抗していた手の動きを封じた。  かろうじて動かせる足の、膝から下だけを、バタつかせるくらいしか、僕に抵抗する術は無くなってしまった。 「——ッくそ、キツいな……」  忌々しげにそう言いながらも、男はぐいぐいと硬くて熱いモノをねじ込もうとする。 それは入口にあてがわれた感覚だけでも、そこに入るような大きさじゃないという事は分かりきっていて、男がグイッと力を入れる度に僕の体は上下に揺さぶられた。  腰を力強く掴まれて男に引き寄せられて、無理やりに入口を押し広げるように先端の太い部分がめり込んでくる。 そこが切り裂かれるような痛みが走った。 「——や、無理っ、痛いっ」  パンパンパンと、打ち上げられる花火の間隔が短くなって、その光が暗い境内を明るく照らしている。 「——ッやーーーーっ!」  僕の悲鳴は、連続で打ち上げられる花火の音に、きっと掻き消されてしまっているんだろう。  もう、花火大会もラストに近づいていた。

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