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―― 偽り(18)
言われるままベッドへ歩み寄り、男の隣に腰を降ろすと、すぐに肩を抱き寄せられた。
「いい子だ」
男の指が髪に触れて、ピクッと身体が震えてしまう。 予想に反して優しい手つきで、男は僕の髪を梳くように撫でる。
目の前のカメラの赤いランプが気になった。
「こないだは、乱暴にして悪かったな」
思いがけず優しい言葉が、胡散臭い。
「あの時は酔ってたし、時間も無かったからな。でも安心しな、今日は優しくしてやる」
売り物だからなと言いながら、髪から移動した男の手の甲が頬を掠めるように撫でていく。堪らずに顔を背けると、顎を捕らえられて前を向かされる。
「ちゃんと前を向かないと、顔が映らないだろ」
「……撮影して売るつもりなの?」
「んなの決まってんだろ? いい値段で売れるんだよ、これが」
言いながら、男の指が制服のシャツのボタンにかかる。
「まぁ、男でやるのは初めてだけどな」
そんな事をされたら……
まず頭を過ったのは、父さんに迷惑がかかるかもしれないという事だった。
男は、にやけながらボタンを全部外してシャツの前を開ける。露わになった肌がよく見えるように、僕の身体をカメラの方に向けさせた。
「…… 顔は…… 映さないで……」
「後でいくらでも処理できるけど、顔隠したら面白くないだろが。ま、俺の顔はモザイク入れるけどな」
そう言って、男は喉を鳴らして笑う。
それでも僕が、なんとかカメラに映らないように、顔を背けていると、「ちっ、仕方ないな」と、言って立ち上がり、側にあったチェストの引き出しの中から黒い布を取り出して僕に見せた。
「これで目隠ししたら分からないだろ?」
「そんなの!」したって、気休め程度にしかならない。
抗議しても、男は強引に黒い布で僕の視界を奪う。頭の後ろでキツく縛られて、顎を捕られた。
「……っ……」
唇にぬるりとした感触が這って、背中に悪寒が走る。 ――男に唇を舐められたんだ。
「安心しなよ、お前が俺から逃げなけりゃ、売らないから」
男の声と一緒に頭の上でカチャカチャと金属音がする。続いてファスナーを下ろす音が聞こえた。少しの間があって、唇に何かが押し当てられる。
「口開けろよ」
少しだけ硬くなりかけた男のモノで、唇をこじ開けられる。
独特の臭いが咥内に充満した。
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