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 ―― 背徳(33)

「……伊織……ぃ……」  慎矢の指が僕の髪を梳くように撫でて、切なそうな声で僕を呼ぶ。  僕は熱く猛り切っている慎矢の根元から先端へと、舌を這わせながら上目遣いに視線を合わせた。  戸惑いながらも、その瞳は情欲に濡れて光っている。  どんなに駄目だと分かっていても、快楽には抗えるはずもなく、理性なんてガラスの防壁のように脆い。  男の機能なんて、皆同じ。  「他人にこんな事されるの、初めて?」  視線を合わせたまま問えば、慎矢の顔がまた紅く染まる。  キスさえも初めてだった慎矢の半身は、他人にこんな風に触られて初めての快感にヒクヒクと震えている。  僕はゆっくりと先端から包むように、慎矢の猛りを咥内に呑み込んでいく。 「――ッ、伊織……ッ……あぁっ」  咥内に挿れた途端に慎矢のが脈打って、また大きくなったのを感じた。  彼の荒い息遣いが僕の耳に届いて、僕の髪へ挿し入れた指に力が込められる。  喉奥に当たるくらいに熱い肉芯を呑み込んで、また先端まで顔を引いただけで、慎矢の太腿や腰が痙攣したように震え始めた。 「――あっ……駄目だ……ッ」  もう一度、最奥まで咥え込んだ途端、喉に熱い飛沫が打ち付けられた。  咥内で脈打つ慎矢を感じる。  欲の飛沫を咥内に受け止めながら見上げると、慎矢は恍惚の表情を浮かべている。  ――ねえ……慎矢、わかってる?  今、君が欲を吐き出したのは、慎矢の言う友達の口の中なんだよ?  咥内に広がる濃い液を数度に分けて喉へと流し込み、最後に搾り取るように吸いげても、まだ慎矢のそこは硬度を保っていた。 「ふふ、元気だね」  唇を、指先で軽く拭って見上げると、慎矢が困惑した顔で僕を見つめていた。 「そんな顔して……気持ち良くなかったの?」 (――後悔してるの?) 「……いや……その……そんな事ないよ」  僕は立ち上がって少し背伸びをして、そして言いにくそうに口籠っている慎矢の唇の端に、そっと口づけた。 「……ねえ、じゃあ、僕のことも触ってよ」  この胸の奥の痛みを忘れさせてほしい。  いっその事、何も考えられなくなるくらいに僕のことを犯して欲しい。  慎矢の手を取って唇を寄せて、その節くれだった指を咥内に誘う。  舌を絡ませながらピストンさせて、慎矢の指を濡らして懇願する。 「慎矢お願いだ。早くこの指で、僕に触れてよ」

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