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 ―― 陽炎(16)

 手を引かれ、ソファーに座った先生の脚の間に当たり前のように跪く。  そうしろと言われた訳でもなく、自ら先生のベルトを緩め、前を寛がせた。  股間に顔を埋めて、夢中になってそそり勃つ肉棒に舌を這わせている自分。  自分が立たせている水音が、静かな部屋に響いてる。その音にさえどんどん煽られるのは薬のせいなんだろうか。  ただ先生のものを舐めているだけなのに、薬で急速に熱くなった身体が蕩けてしまいそうな感覚。 「……ん、っ……ふ……っ……んん」  血管が浮き出ている太い屹立を根元まで呑み込んで、喉奥を先端で擦られる。 苦しいけれど、段々とそれに勝る程の快感が生まれてくる。  もっと奥までと、限界まで咥えて喉奥で絞るように吸い上げた。  息苦しくて涙が滲むのに、その先を期待して腰の奥に熱が灯り、身体が震えた。 「俺のを舐めているだけで、感じてるのか? 伊織は、やっぱり淫乱だね」  笑いを含んだ声が落ちてきて、先生は跪いている僕の股間へ脚を伸ばす。 「……ん、っは……ぁあ……ぅんん……」  触られてもいないのに、服の下で硬く勃ち上がったそこを、靴のつま先でグリグリと何度も弄ばれる。  口の周りが溢れた唾液で濡れるのも構わずに、僕は喘ぎながら口淫を続けた。 「あの薬、即効性あると聞いていたけど、淫乱な君には2錠は多すぎたかな」  そう言って、先生は僕の髪を掴んで、ソファーから立ち上がった。 「……っ、……ん」  髪に触れられただけで、肌が粟立っていく。  先生は僕の頭を両手で固定して、激しく腰を振り始めた。 「――っ、ん、ん……っ……」  硬い切っ先に何度も喉奥を突かれて、惚けた頭の中は相手が誰なのかも分からなくなっていく。  この熱い猛りも、この独特の匂いも、何もかも、もう誰のものでも良いと思ってしまう。  咥内に感じる熱も、形も、匂いや味にさえ、そこから甘い痺れが広がって、身体の奥まで侵されていく。  やがて咥内で、先生のものがドクンと脈打って大きくなったと思った瞬間、髪を強く掴まれて、そこから引き剥がされる。 「……んぁっ」  熱く濡れた肉棒が出て行って、咥内が空っぽになったのと引き換えに、顔中に熱い飛沫が飛び散った。  髪の生え際から、額、頬、口元を濡らしていく。  額からとろりと流れ落ちた白濁が目にかかり、瞼を開けることができないでいると、喉の奥で笑うような声が落ちてきた。 「くっくっ、本当、こういうのが似合うよね、君は」  先生の指先がそれを拭い、唇に押し当てられて、「舐めなさい」と冷たい声で命令される。  僕はそれに従うしかなくて、先生の指の汚れを綺麗に舐め取っていく。  この後に、この人がくれるであろう快楽を期待して、身体の奥が疼いているから。 「お利口だね。ご褒美をあげるよ」  待っていた言葉に、僕は簡単に尻尾を振って、先生に促されるまま制服を脱いでいく。  甘い言葉を囁く声には、冷酷さが漂っているのを知っていながら。

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