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 ―― 陽炎(18)

 先生からなるべく離れようとしたけれど、膝が抜けたように力が入らなくて、よろよろと本が並んでいるスチール製の棚に寄り掛かった。  高められた体内の熱は、出口を求めて駆け巡る。 「……っ……ぁっ、あっ……」  もう我慢ができなくて、先端に突き刺さっている棒を引き抜こうとした途端、背後から先生の手が伸びて、屹立の根元を握りしめられた。 「ダメだよ、勝手に取ろうとするなんて、悪い子だ」  突き刺さった棒から、とろとろと伝い落ちる雫を塗り広げるように、ゆるゆると扱かれて、気が狂いそうな快感が僕を追い詰めていく。 「……や、ッめ……て……」  途切れ途切れに訴える声といっしょに熱の籠った吐息が漏れる。 「やめて? もっと、の間違いじゃないのか」 「い……や、もうやめて……」  弱々しく抵抗する手はあっけなく捕えられ、手首にスポーツ用の布製のリストバンドを着けられた。 「……っ? ……何?」 「勝手に取ろうとしたからね。も うこの手が悪さをしないように、こうするんだよ」  リストバンドを着けた上から、手錠が掛けられて、スチール棚の柱部分に両手を繋がれた。 「……あ……」  リストバンドをしたのは多分、手錠が擦れて、手首に痕が残るのを防ぐ為。 「――ア……ッ」  濡れた指が後孔をなぞり、すぐに中へ侵ってきて、耳元に先生の湿った呼気がかかる。 「どうせ、ここに大谷のも咥え込んだんだろう?」  笑いを含んだ声で囁きながら、先生は体内を確認するように指をぐるりと回転させながら、屹立に突き刺さった棒をゆっくりと抜き挿しする。 「……ッ、ィっや……ぁあっ……」  気が狂いそうな責め苦から逃れたくて、戒められている事も忘れて腕を引こうとすれば手首に痛みが走る。 スチール棚の軋む音と、手錠と柱を繋いでいる鎖の擦れる音が、虚しく響いた。 「しょうがない子だね。こんなに俺の指を、キュウキュウと締め付けて」  体内の粘膜を指で擦りながら、先生は屹立に挿した棒の抜き挿しするスピードを上げていく。 「――っやあっ、せん、せ……も……外して……」  懇願の言葉も、先生は聞こえないフリをする。 僕が苦しむのを冷ややかな目で見つめ、その口元は嬉しそうな笑みを浮かべている。  中の指が3本に増え、あの一番感じる部分を執拗に擦り始めると、堰き止められて行き場のない熱が、身体の奥深いところで弾け飛ぶような感覚に身悶えた。

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