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―― 希望(4)
「そこで、か……」
僕の視線に気付いて、父さんは僕の身体を抱いたまま振り返り、ベッドへ歩み寄る。ゆっくりとそこへ寝かされて全身へと注がれる視線に、ジリジリと肌が焼けるような気がした。
――怖い。
父さんは、嫉妬している? ――慎矢に?
今まで僕が、父さんに逢えない寂しさを紛らせる為に、遊びで誰かに抱かれて咎められることはあったけど、こんなに凍てつくような眼差しで見られた事はなかった。
中学1年の夏祭りの夜、神社で僕を陵辱した名前も思い出せないあの男とほんの一カ月の間過ごした時も確かに怖かったけれど、これはあの時とは違う。あの時よりもっと……。
「ここでの記憶は………、彼のことは、全部忘れてしまいなさい」
両脚を抱え上げられて、熱い切っ先を後孔に宛てがわれた次の瞬間、一気にそれが身体を貫いた。
「――あああッ!」
最奥を激しく突かれて揺さぶられ、身体が逃げるように上に擦れていくと、腰を掴まれて引き戻される。逞しい腕で身体が動かないように固定され、内壁を灼熱の杭で荒々しく擦られて、その摩擦で火傷しそうに熱い。
そうする事で、僕の身体に残る記憶を全部消そうとしているんだ。
だけど、ここで慎矢に抱かれた時だって、僕は父さんのことを想っていた。あの男に抱かれていた時と、何も変わらなかった。
慎矢への気持ちは、確かに他とは違って特別に思えていたけれど、それは愛とかじゃなくて……、僕が慎矢に求めたものは、もっと違うものだった。
「また……何を考えてる?」
そう言って、父さんは胸の尖りに唇を寄せる。
「……ん、あ……っ」
ねっとりと唾液を含ませた舌に撫でられて、甘い快感が背中を駆け上がりかけると、今度はキリキリと歯を立てられて、身体が強張り、自然に窄まりは父さんの熱棒を締め付けていた。
「何も考えるな。お前は私だけを見ていればいい」
律動がさっきよりも一層激しく繰り返され、僕の好きなあの部分を時々硬い先端で抉るように擦りつけられて、
「あっ、あっ……あぁ!」
頭の中が真っ白になって、慎矢のことも、もう何も考えられなくなっていく中で、僕は父さんに頷いてみせた。
もう父さんだけしか見ない。それは僕が一番望んでいたことだから。
だから……
「学校も辞めるから。もう外には行かないから。だからお願い」
腕を伸ばして、必死に父さん首にしがみ付き、唇を重ねた。
鳥籠の中で、ずっと閉じ籠められたままでもいいから、だから……、
――もう僕を、独りにしないで。
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