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第2話
ある日彼女が俺のところに泣きながらやってきた
「どうしたの?くーちゃん」
くーちゃんことくいなちゃんは俺の幼馴染。くーちゃんはあんまり涙を見せたことがない子だからすごくびっくりしたのが先だ
「あのね…ろうくん…遠くに引っ越しちゃうんだって…」
「え…?いつ…」
「…今日」
「そんなの聞いてない…」
ろうくんは高瀬くんの下の名前。くーちゃんが下の名で呼んでるのもショックだったが遠くに行くって?そんなの知らなかった…誰も教えてくれなかった…
俺は急いで高瀬くんの家に走った。走って走って息もできないくらいに…
「高瀬くん!」
けれど…遅かった。高瀬くんの家はすでに空っぽで近所の優しいおばさんが高瀬君家にいた犬のチビを抱っこして立ってた
「あら。りりくん。久しぶりね」
「おばさん!高瀬くんは?」
「たった今出ていったわよ。大きなトラックと合わなかった?」
必死で走ってたから全然気付かなかった。悲しくて悲しくて大声で泣き叫んだ
「うわーん!!高瀬くーん!!」
へたり込んで大泣きする俺をおばさんはオロオロとしながらそっと背中を擦ってくれた
チビは静かに寄り添ってくれた
「チビは行かなかったの?」
「向こうじゃ飼えないらしいのよ。だからおばさんが譲り受けたの。りりくん。チビに会いに来てあげてね」
………
今も懐かしくあの頃のことを思い出すんだ
きっとあれが俺の忘れられない初恋。
「りり!」
「あ。おう。お疲れ様」
今俺の隣には同じ人を愛した子がいる。
「ここ通ると思い出すねぇ。高瀬くんのこと。」
「そうだな」
「今どこにいるんだろうねぇ」
「さぁな。そろそろ戻るか。チビ」
高瀬くんとこのチビはそれから暫くしておばさんが体調を崩して飼えなくなったから家で引き取った。
それからずっと一緒に過ごしている。相当年をとったけれど毎日の散歩は欠かさずしている
「…くーちゃんと…りりくん…だよね」
突然呼ばれて驚いて立ち止まる
「チビ。ごめんな。元気だったか?」
チビと目を合わせゆっくりと撫でる。チビがいつもより元気に見えたのはこのせいだったのか
「…高瀬くん…どうしてここに?」
あの頃より背も伸びて大人になってすごくすごくかっこよくなって…
隣りにいるくーちゃんが頬を染めて高瀬くんを見つめていた
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