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ふてくされるわんこ(第2話『わんことおそろい』3)

「体育会系が脳筋(のうきん)って考えは古いんだよ」 「ごめんって」 「あー、傷ついたなあ。すっごく傷ついたなあー」 そう言っているけど、朝倉の言葉は棒読みだ。心から悲しい訳ではないのだろう。でも言い方が悪かったよなあ……。 「ごめんね、朝倉」 朝倉は俺の胸に頭を押しつけている。 「よし、よし」 俺は朝倉の背中を叩いた。朝倉は無言で俺の胸に頭をぐりぐりしている。 かわいい。ふてくされた大型犬みたいだ。 「お願い聞いてくれたら、許す」 「なんだよ、言ってみ」 「眼鏡かけて、俺の上に乗っかって」 「え」 「腰いっぱい振って、あんあん喘いでくれなきゃ、許さない」 「ええ、めちゃくちゃな要求するなあ」 さっきのじゃ物足りなかったのかな。少し腰が痛いし、どうしようか。 「その代わり。俺も眼鏡かけてするから」 「ほんと!」 眼鏡の朝倉に抱かれるのか。俺は想像した。いつもよりSっ気がある感じになるのかなあ。悪くない。 「橋本、おい橋本」 「何?」 「うれしそうだな。俺、がんばらないとなー」 「待って。まだいいって言ってないよ」 「おまえの顔、『お願いします』って表情だよ。よっと」 朝倉は俺を抱き起こした。俺の首筋にキスをする。 「朝倉って、俺のことなんでもわかるんだね」 出かけているとき、本当は手をつなぎたかった。俺が言わなくても朝倉には伝わった。 「ああ。恋人だからな」 朝倉は微笑むと、中指で眼鏡を押し上げた。眼鏡のレンズが光る。見慣れない姿に、俺の胸は高鳴った。 恥ずかしいから、ときめいたのはないしょにしておこう。でもきっと、朝倉はわかっているに違いない 【第2話おわり】

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