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第7話

 めでたいことに優月は復活していた。  ちんちんも見ごとに勃起している。  雄の証。  生命の証。  確かな質感のそれを俺は夢中になってまさぐった。  いやらしい作為に、敏感になった優月の腰が跳ねる。  後穴が俺の欲望を搾り取る。  気持ちよすぎる。 「う、イク……」 「ああーー!」  俺達はほぼ同時に達していた。  華奢な身体が放った白濁液は俺の腹に勢いよく散っている。  達してもまだ物足りないのか、優月はブルブルと震えていた。 「あ、あ、あ、ああっ」  断続的なイキ声。  眼は見開かれ、俺の顔を真っ向から見つめている。  優月幽霊は完全にかき消えていた。  幽体離脱の状態から元に戻ったのだ。  激しい交合がきっかけになったに違いない。  温かく淫猥な実体を、優月自身を、俺はじかに堪能している。  伸ばされた腕が、訳も分からず俺の首根に巻き付いて来た。  激しすぎる絶頂に顔を左右に振って、絶息状態だ。  それほどの快楽に見舞われるのははじめてのことだったのだろう。 「雷に……打たれたみたいだ………」  かすれ声で茫然と言って、荒い息で胸を上下させている。  幽体離脱から戻る衝撃と、はじめてのSEXの衝撃。それらが相まって常識や理性を破壊したのだろう。  薄い胸にほんのりと血色が戻って来ている。  完全に生き返っていた。  俺は確かめる手で優月の頬に触れる。  感触は変わらずしっとりとしているが、頬はぽっと薔薇色に染まり、眼にも妖しい。  うまそうだった。 「すごい、これ……なんなの………」  今までの頭上からするような遠い声ではなく、唇から直接声が聞こえて来ていた。 「こんなの、はじめてだ……」  いくら幼い容姿だからと言って自慰くらいはしてるだろう。  だが、そんなものでは比較にならない特上の快楽に、優月はいまだ翻弄されているのだ。 「気持ちよかったか」 「あ……」  優月幽霊は優月本体の中にぶれることなくしっかり戻ったらしい。  俺は優月の頭を撫でてやった。 「ちゃんと戻ったみたいだな。よかったな」  しかし優月の反応は意外だった。うれしいとか良かったとかそういう台詞の前に、小さな悲鳴を上げたのだ。 「あっ」  ビクンと跳ねて訴えて来る。 「触らないで」 「優月?」 「僕の身体、変」  触らないでといいつつ、身体は俺の身体をせがむ。  体温を求める。  欲しがる。  濡れた目で誘惑する。 「助けて。どうにかしてっ」  泣きながらしがみつかれて俺は驚いた。  かわいそうなほど積極的な誘惑。  あられもない乱れっぷり。  優月は自分から立てた膝を大きく開き腰を揺すった。  言葉にできなくて、しかしその分大胆に、ちんちんの先を俺の太ももに擦りつけて来る。  卑猥で正直な誘い。  俺のボルテージが上がった。 「お前の身体、素質あるな」 「な、なに…?」  見悶えながら漏れる怯えた声。 「変な、素質?」  乱れる息で、不安げに聞いて来た。  いやらしい素質があると暗に匂わされたのだ。ショックだったろう。  俺は慌てて言いつなぐ。 「変じゃねぇよ。抱かれる素質っつーか、かわいがられる素質だ」 「抱かれ…」 「こんなに感じやすいんだ。抱き甲斐があるし、かわいがりたくもなるさ」  愛したくもなる。  俺は自分の中に芽生えた感情に驚いた。  それなりに恋愛もしてきたし、一夜限りの遊びもあった。だけどこれほど愛おしい気持ちにさせられたのは初めてだ。 「さっき雷に打たれたみたいだって言ってたな。それほど激しくはないだろうが、これから俺が、お前の気が変になるほどかわいがってやる。全部任せとけ」 「でも」  納得できない様子に俺は脅しをかける。 「このままやめていいのか」  意地悪く言って小ぶりの男性器を手で擦り上げた。簡単にまた兆してくる。 「………いや」  迷った末、小さな声が答える。 「どういう意味の『いや』だよ。触られるのが『いや』なのか。やめられるのが『いや』なのか」 「だから、だからっ」  分かってお願いと、必死に向ける視線と俺の視線とが絡んだ。  俺が手を止めたままでいると、優月は辛そうに睫毛を伏せる。 「意地悪い……」  涙声で非難されて、俺はようよう手を動かしはじめた。  快楽を引き出してやる。  手の中では雄の力が漲って来ていた。 「遠慮すんな。俺の手に出せよ」 「ん、ん、……あ、ああああ!」  甘ったるい声。これが誘いでなくてなんなんだ。  再びの放出に手のひらがぬめっている。 「あ、……また、また僕……あああっ」  まだおさまらないらしく、今度は自分の手でちんちんを握って刺激し出した。  俺の視線から隠すように身体を横にしてしまう。  そんな肩を後ろに引いて、俺は顔を突きだしてまじまじと股間を覗き込んだ。 「やらしいな。最高だ。もっと見せろよ」 「ん…、いやっ」 「いやじゃないだろう。こんなにして……」  優月の手の上から手を重ね猥褻な動きに誘導していく。  憐れな姿態は激しくおののいた。 「あ、…いい、凄くいいっ」  いい、いい、と繰り返す素直さが愛おしい。 「お前、気持ちいいことに弱いのな」 「湯橿さん……」 「なあ、俺はお前に惚れちまったぜ。こんなに抱き心地がよくて、感じやすくて素直な身体、もう離せない」  お前は俺に似合いだ。  俺は耳元で熱くそう囁く。 「お前も俺に惚れろよ」 「………湯橿さん」  傲慢な言葉は、朦朧としている優月の心の深くに届いただろうか。

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