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第8話
熱い獣の時間が終わって、ようやく二人とも正気に戻った。
優月はなにやら驚愕して、反省して、絶望して、赤くなって、青くなって、百面相だ。
無理もない、初めてだというのにあれだけ派手に喘いで、乱れて、イキまくったんだからな。
あれはどう見たって合意の上の行為だ。
いい訳など許さない。
布団の上、優月を宥めるように俺は後ろから抱きついた。
耳に息を注ぎ込む。
「恥ずかしがるなよ。みんなしてることだぜ。気持ちよかっただろ?」
かわいい男の髪を自分でも驚くほどの繊細さで撫でる。
俺の中ではすでに恋人認定だ。
優月は戸惑っているかもしれないが、逃す気はない。
順番はあれだが、ちゃんと気持ちを言葉にしておくことにする。
「好きだぜ」
青臭い告白をしている自分が気恥ずかしい。
「湯橿さん」
「お前も俺を好きになってくれ」
「僕……」
優月は意外にも怒ってはいなかった。本来なら訴えられてもおかしくないような事をしたというのにとてもおとなしい。俺にびくついてるのか?それとも淫乱な自分のさがに開き直るしかなかったのか。
「あーなんだ。すまねぇな。いろいろしちまったけど、俺は本気でお前に惚れたからな」
すると、どう返事をしようか迷っているような沈黙が落ちる。
「恋人になってくれよ」
切々と訴えると多少はほだされてくれたらしい。
「あの……もう、無理やりしないでもらえますか」
「無理やり……はなしだな。悪かった」
俺も反省はしている。
「あんなになっちゃうの怖いから」
あんなになるの、俺は大歓迎なんだが。
「腰振ってイキっぱなしのお前、最高にエロかったんだけどなぁ」
「そういうこと、言わないでっ」
「悪い、悪い。けどさ、今後欲情するようなことがあっても、誰彼かまわず誘うんじゃねぇぞ。そういう時は俺のこと思い出しながら一人でするんだぞ」
「湯橿さん、変なことばかり言って、もうやだ……」
優月は情けない声でそう言うと、俺の腕の中で身体を丸く小さくしてしまった。
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