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両片想い4

 だけど全部を咥えないように、頭を押さえる手の力に反発してやった。 「おい、意地悪ばっかりするなよ」 (俺のことを好きじゃない先生に、これからもとことん意地悪してやるんだ)  双丘を撫でていた片手で、スラックスの上から割れ目の部分を指先を使って強くなぞった。 「くぅっ!」  両足を適度に開いて立ったままでいるからか、ダイレクトに感じたらしい。口の中のモノが、さらに質量を増した。 「あっ、あっ、あぁっ…そこばかり、刺激するな。前もちゃんと」 「ちゃんと、なに?」  1度だけ深く咥えてから、先生のモノを吐き出した。  やり方を訊ねる俺の顔は、どんなふうになっているのだろう。  頬を真っ赤に染めながら見下ろす、先生のもの欲しげな表情だけで、何をしてほしいかわかる。だけど恋人として苛立つくらいに焦らしつつ、責めてやろうと考えた。 「白鷺課長、俺はできの悪い新入社員なので丁寧な指示がないと、要求されるお仕事がこなせません」 「何でいきなり、そんなことを……。お前、何度もシてるだろ」 「俺の目の前で女とイチャイチャしてるのを見たら、これまでのコトを全部忘れちゃいました」  馬鹿にしたようにへらっと笑いながら、肩を竦めてみせた。 「忘れたなんて言うな。2週間前にここで言ったろ。『先生が好き』って」 「2週間前なんて俺の中では過去すぎて、記憶に全然残らない」  どんなに情熱的な言葉を使って告白をしても、顔色ひとつ変えずに先生はただ聞き流す。それだけなんだから――。  ふいっと顔を逸らしたら先生の右手が前髪を掴んで、強引に正面を向かせた。 「痛っ!」 「忘れたなら思い出させてやる。つべこべ言わずに咥えろ」 「何でそんなっ、ふぐっ!?」  文句を言いかけた口の中に、先生のモノが押し込まれた。 「前回ヤったときは、美味しそうにしゃぶってくれたろ。早く思い出せ」 (思い出すもなにも、忘れられるわけがない。先生への想いが心の中を、こんなにも焦がしているというのに)  室内に口淫する音が、いやらしい感じで響いた。好きな相手に抵抗するようなことは、やっぱりできない。  目を閉じながら積極的に動いて、先生を気持ちよくする。すると前髪を掴んでいた手が頬に添えられ、俺の耳朶に意味なく触れた。それが妙にくすぐったくて、眉根を寄せながら喘ぐように呼吸をするのがやっとだった。 「ンンっ…もっと舌を絡ませて、強く吸って」 「んあっ、んっんっぅっ、鉄平ぇ好きっ」 「壮馬……、あぁあっ、俺にっ、こんなことができるのは、お前だ、けっ」  告げられた先生の言葉を、そのまま信じたい。そしてこんな言葉よりも、すごく欲しいものがある。それを引き出すために、俺は必死になって頭を動かした。 「俺だけっ、ぉ、れだけ……」  自分のすべてを使って、目の前にいる好きな人をとことん感じさせたい――。 「ふぅう…っ、んぁっ、もうイクっ!」  先生の両手が俺の顔を掴んで、腰を前後に激しく動かしたそのときだった。  キンコーン♪。.:*・゜  品のある呼び出し音が部屋の中に響き渡った瞬間、躰をビクつかせた先生が、俺の口から慌てて自身を引き抜いた。引っこ抜いた勢いをそのままに俺の顔に向かって、思いっきり白濁がぶちまけられる。 「おまっ、ルームサービスは頼んでないって言ったろ」 「んっ……。それが嘘だとしたら?」  粘り気のある白濁が、頬からゆっくりと流れ落ちてきた。それを舌先で、美味しそうに舐めとってみせる。  ふたたび呼び出し音が鳴る中、先生は舌打ちしながらあられもない姿でバスルームに消えた。怒り狂うその背中を見送りつつ立ち上がり、気だるげに扉の前に向かう。 「すみません。シャワーを浴びたばかりですので、そのまま廊下に置いていただけますか」  口を動かすたびに先生の放出したモノが流れてきて、雄の匂いと一緒に唇の上にその存在を悟らせる。自分が感じさせた証を直に感じることができて、微笑まずにはいられなかった。 「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」  扉のむこう側から聞こえてきた声の数秒後に開錠し、頼んでいたシャンパンと軽食を手にしてから、室内に戻る。  バスルームからシャワーの音が聞こえてきた。  先生は今どんな気持ちで、それを浴びているのだろうか。

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