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第158話

「誰かぁぁあぁーーーーー!助けてくれぇえええーーーー!!」 心の声を学校の屋上にて大きな声でぶちまける渉はあらゆる面で切羽詰まっていた。 咲也が可愛くて可愛くて可愛くて…… 「ってゆーか、これ、何?なんかのドッキリ⁉︎」 頭を抱えてしゃがみ込み、目の前の現実を渉は嬉しいはずなのに手放しに喜べない現状を悲しむ。 「あぁーーー!もう、全部都合悪い事は忘れて思いっきり咲也のこと抱きてぇ〜」 頭を垂れて盛大なため息を吐いた後、右手に握り締めた携帯電話を見つめた。 「……最後の頼みの綱、俺の癒しの天使に相談するか」 そう言って自身の持つ知り合いの中で一番優しい人物へと渉は電話を掛けた。 「渉君……」 相談を持ちかけられた渉の天使はあまりのヘビーな内容になんと答えて良いやら、言葉を紡げなかった。 漆黒の瞳を持ち、華やかな容姿の彼は自分の二番目の兄、猛の最愛の伴侶である西條 ざくろだ。 少し前に九流家と養子縁組したざくろは九流の姓を名乗れという猛に反発し、卒業まではと西條の姓を未だ変えずにいた。 見た目も良く、性格も温厚なざくろは少しお堅い所はあれど、とても良識な人間だ。 綾人と親友でもある為、この話は下手をすれば門倉へ筒抜けになる可能性もあったが、もうこれ以上、縋れる相手がはいないことから腹をくくる事にした。 「………猛に相談しよう」 名案だ!と、強張る笑顔でズボンのポケットから携帯電話を取り出すざくろに渉が飛びつくように抱きついた。 「待って!待って!待ってぇー!!たけ兄に俺、殺されるじゃん!」 「大丈夫だよ!猛、優しいからどんなに怒っても最後は許してくれるし、最悪強烈なデコピンくらうだけだから!」 よしよしと頭を撫でながら慰めてくるざくろに渉はざくろが兄に愛されているのだと痛感した。 どれほど強烈なのかは知らないが最愛のパートナーにはどれほど怒り狂ってもデコピンで済ませてきたのかと、あの凶暴な兄の溺愛ぶりに失笑する。 「とりあえず!あまりこういう事は時間を置かない方がいいよ!」 直ちに問題解決に向かおうと、ざくろは渉を押し退けて、自身の携帯電話で猛を呼び出した。

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