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第15話
何をしても綾人のする事、全てが気にくわない咲也は天使への攻撃を止めることをしなかった。
「汚い奴…。お前に兄様は勿体無い。消えろ」
冷ややか目を向けて言い放つと、流石の綾人も怒りが込み上がったのか優一を押し退け、咲也へ口火を切った。
「そんなに僕が気に入らないなら、アンタが出て行けばいいだろ!?僕はゆーいちに呼ばれて…」
「ゆーいち!?」
被せるように大声で自分の言葉を繰り返され、綾人はビクッと体を震わせ、口を閉ざしてしまう。
「お前、馴れ馴れしくも兄様のこと名前で呼んでるのか!?なんって図々しい豚なんだ!お前如きが兄様の名前を呼ぶなんて百億年早いっ!ご主人様とでも呼べ!この豚っ!!」
綾人へ怒号を放つ咲也にどうしてそこまで言われなきゃいけないのだと拳を握り締めた綾人はソファを立ち上がろうとした。が、次の瞬間、門倉の長い足が咲也の腹部を思い切り蹴り飛ばした。
「お前、ウザい。消えろ。綾のことに対してグダグダ抜かすな」
完全なる綾人の味方である兄に対し、蹴り飛ばされて地面に尻もちをつく咲也はシュンと肩を落としてわなわな体を震わせた。
それを尻目に優一が綾人を抱きしめて見せつけるようにキスをした。
「んっ!」
驚いて体を引き離し、抵抗する綾人だがその華奢な体を押さえ込んでは淫らに体を弄り始める。
「はぁ……ッン、や、やだっ!」
「嫌じゃない。気持ちよくなってごらん」
必死に抵抗を試みる綾人に甘く微笑み、下半身へと手を伸ばす優一の行動はどんどん過激さを増す。
「に、兄様!!」
兄が他の人間へ触れるのを止めたくて咲也は大きな声で兄を呼んだ。
だが、優一は暴れては顔を赤くする美しい天使に夢中になっていった。
「綾……、可愛い。好きだよ…」
「アッ、んっ、やぁ……ぁっ…」
優一の手から必死に逃れようとする綾人に愛を囁き、惜しみない愛情を注ぐその姿に咲也は硬直する。
その時、涙を浮かべる綾人の瞳と目が合い、咲也の心臓がドクンッと大きく揺れた。
愛する兄に愛を注がれ憎いはずなのに、綾人が綺麗で美しいと感じてしまった。
天使の放つ未知の色香に自身の下半身が少し反応していることに気付いた咲也はカッと恥ずかしさに全身を朱に染めた。
「や、ヤダってば!ゆーいちっ!!」
どんどんエスカレートしていく愛撫に綾人が涙を流すと、優一は咲也から綾人を隠すように抱きしめて意地悪く笑った。
「邪魔者が帰ったら俺のことも思いきり気持ちよくしてね。綾ちゃん」
自分へ牽制するよう放たれたその言葉に咲也は真っ赤な顔で立ち上がると、頭の中を真っ白にし、走って部屋の外へと飛び出した。
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