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第18話
あの後も沈み咲也を渉は賢明に宥め、泣き疲れて眠ってしまった咲也を自分のベッドへと運ぶと、額を押さえて息を吐いた。
こんな咲也は初めてで渉自身かなり驚いて動揺を隠せずにいた。
ゆう兄に恋人が出来たことはたけ兄から聞いてはいた
正直、あのゆう兄が「恋人」を作るのだ
気まぐれではあっても、いつもとは違う「あそび」だとは思っていたが、まさか咲也が言うように「本気」なのだろうか…
咲也の観察力はかなり優れている
それも相手が兄ならば、それはハズレではないだろう
白木 綾人
彼のことは猛の恋人のざくろを介して、何度か見たことはあった。
目を奪うほどの容姿で純真無垢なイメージを受けた。
ゆう兄はこんな感じの子がタイプなのかと思った。ただ、それだけだ……
こんな咲也を脅かす存在とはつゆにも知らず考えにも及ばなかった。
自分のベッドで寝息を立てて眠る幼馴染みへ渉は視線を落とす。
綺麗だと胸の奥をジリジリ焦がす感覚に急いで目を逸らした。
この感覚に気付き始めたのは中学一年の時。
コレが一体何なのかは分からない。
分からないけど、分かると厄介なものだと頭の隅で警報が鳴っていた。
なので、見て見ぬ振りを決め込み永遠知る必要のないものとしている。
咲也へ一度視線を戻し、眠っていることを再度確認すると、渉はズボンのポケットへ入れていた携帯電話を握り締め、部屋を出た。
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