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第21話

「白木綾人のこと、どう思う?」 人気の無い階段下のとある一角で咲也が優美な笑顔で三人の男達を捕まえ、妖しい笑みを浮かべては片手に分厚い封筒をはためかせていた。 三人の男はその封筒を見つめながら聞かれた内容に素直に答えた。 「白木って、あの天使だよな?」 「可愛いし、お近付き合いになれるもんならなりてぇーよ」 「そうそう。でも……」 言葉を濁す三人目に男達はバツが悪そうに苦笑する。 「門倉 優一」 三人が口籠る原因であろう人物の名前を咲也が口にした。 案の定、男達は目と目を合わせて小さく頷いた。 「門倉は敵には回せれねーしな」 「100倍は軽く報復されそうだし」 「それに、白木が泣くのはあんま見たくねーよな」 三人が笑ってそう言うと、咲也は小首を傾げてくすりと微笑んだ。 「今年の年末、白木綾人は寮に残るんだって。兄様は勿論、実家へ帰省する。白木は独りぼっちで年末年始を過ごすんだけど、長期の休みで体が疼くから手頃な浮気相手探すってさっき聞いたんだ〜」 美しい整った顔を笑顔にして咲也は続けた。 「君達が相手してあげたら?白木も合意なら兄様だって文句は言えないし。っていうか、見つかる余地もない」 悪魔の囁きとも取れるこの甘美な誘惑に男達が浮き足立った。 「ま、マジで?」 「白木が本当に!?」 「門倉には見つかんねーのか!?」 それならとソワソワする三人に咲也が持っていた封筒を一人の男の胸元へと押し付けた。 「すんごい淫乱らしいよ?三人で満足いくまで思いっきり可愛がってあげなよ。コレは俺からのデート代。兄様の恋人らしいし、奮発してあげる」 ふふっと淡く微笑む咲也はよろしくね。と、唇を動かせると、そっとその場を離れていった。 それを咲也からは死角となる場所にて聞いてしまった渉がいるとも知らずに……

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