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第24話
「どーして、白木 綾人がここにいるわけっ!!」
世間を賑わす大晦日、日本の秩序を守る家系のの門倉家では咲也の絶叫が轟いていた。
「…咲也、うるさい」
気まずそうに俯いては小さくなる綾人の肩を抱いて優一は喚く弟を一喝してから時代劇さながらの和風の豪邸である実家の門を潜った。
玄関の扉を開くとそこには門倉兄弟と同じ紅茶色の瞳と艶やかな腰まである長い髪を靡かせる優一の母親が息子の帰宅を笑顔で出迎えた。
が、綾人の姿を見た途端その笑みが消える。
「ゆ、優一さん!その子……」
顔を歪ませる母親に優一がにこりと微笑む。
「俺の大事な子だから、もてなしてやって。これ、命令ね」
母親相手に「命令」と言い放つ優一に綾人は驚いた。
黙り込む母親へと綾人が目を向けると、眉間に皺を寄せた顔で息子に深々と頭を下げる姿に息を呑んだ。
「分かりました……。お帰りなさい。お父様とお爺様がお待ちですよ」
母親というより使用人に近い接し方をするこの母親に綾人は何が何だか分からず優一を見る。
「綾は何にも気にせず、ゆっくり過ごせばいいよ」
動揺する恋人へ優しい笑顔を向けては頭を撫でる優一の実家は一般家庭とは程遠い環境下だった。
「ただいま戻りました」
荷物を母親へ渡すと、大広間に優一が顔を覗かせた。
父親の幸雄と祖父の善が大きなソファにて談笑をしている。
しかし、二人は優一の帰宅と同時に隣に連れてきた綾人に目を開いて驚いた。
「俺の恋人。二、三日泊まるから」
笑って告げると父の幸雄が不愉快そうに口を開いたが、祖父である善がそれを制して声を高らかに笑った。
「お前が噂の白木 綾人か!?」
自己紹介もしていないのに名前をフルネームにて呼ばれた綾人が顔を上げた。
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