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第176話
ー キーンコーンカーンコーン…… ー
一限目が始まるチャイムの音で我に返った渉は頭がまだ上手く回らなかった。
ただ咲也に言われた言葉が耳にずっと残っている。
『別れよう』
確かに言われた
肩の荷が一気にドッと落ちたのを感じ、渉は視界がクリアとなった。
咲也のことが自分では気付かないぐらい重荷だったことを身を持って感じた。
これでいいのだろうか……
楽になる心にふと、疑問が上がる。だが、その疑問を掻き消すように渉はぶんぶん首を横へと振った。
「いいんだ!咲也から振ってきたんだから!これは不可抗力!!」
これで麗美と婚約発表できる。と、渉は安堵する。
高円寺と九流の問題事は何も無くなった
「咲也は全然平気そうだったし、きっと俺の不甲斐なさに嫌気が差して、やっぱりゆう兄がいいって思ったんだよな」
独り言を漏らす渉はだったら、もうそれでいいと納得した。
自分が優一に並べるとは思っていない。夢は見たけど、やっぱりしょせん無理なものは無理なんだ。と、再びごろんっと寝転がる。
ここ最近、自分を悩ませていた問題が一気に解決して渉は青空を静かに見上げた。
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