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第177話
「渉〜!」
待ち合わせ場所に近づくと、髪を一つに纏めて、淡いグリーンのワンピースを着た麗美が嬉しそうに自分へと手を振った。
「久しぶり!えへへ!!」
直ぐに腕へ自分の腕を絡ませ、嬉しそうに擦り寄ってくる麗美に渉は可愛いなと、頭を撫でる。
その瞬間、自分のなかで違和感を感じたが、自分を見上げる麗美の顔ににっこり笑って気持ちを払拭した。
「お昼、予約入れてるんだ。行こう」
中華が好きな麗美の為に渉は美味しい小籠包のお店を予約していた。
麗美はそれだけで喜んで、渉の腕を離し、手を繋いで一緒に隣を歩いた。
「美味しい〜!」
「だろ!?俺も好きなんだ〜」
大人気の小籠包を食べて絶賛する麗美に渉が相槌を打つ。
「よく来るの?」
「いや、咲也が……っ…」
ふいに咲也の名前が口に出て、渉は言葉を止める。そんな渉に麗美が首を傾げた。
「咲也がどうしたの?」
「え……、いや、うん。咲也はあんまり中華好きじゃないから、来れなくて…」
「そっかぁ〜。咲也はフレンチや和食が好きだもんね」
咲也のことをよく知る麗美が答えると、渉はそうだねと、愛想笑いして小籠包をまた一つ口に入れた。
それから麗美のリードで楽しく会話が弾み、食事を終えた2人はショッピングへと街を歩くことにした。
「帽子が欲しかったの!これ、似合う?」
つばの大きな麦藁帽子を試着する麗美に渉が似合う、似合うと頷く。
渉のその一言で麗美は帽子の購入決意を固め、レジへと走った。
その傍らで渉は赤いキャップ帽を手に取った。
こんな派手な色、咲也は被らないか……
似合いそうだと手にした帽子を戻そうとしたとき、渉は店員に声を掛けられた。
「ご試着してくださいね!デザインもシンプルなので、どんな服にも合いますよ」
その一言で、渉はそうだよなと、その赤い帽子を購入することにした。
「あれ?渉も買うの?」
「いや、咲也に。似合うと思って」
「………そう」
包んでもらった帽子を受け取ると、渉は次はどこへ行くのか麗美に聞いた。
麗美は渉の手を引いて、アクセサリーが見たいと別の店へ向かった。
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