188 / 222

第188話

「すでにこのぐちゃぐちゃな部屋に頭の中、いっぱいですよ」 不満を言いながら、コーラの入ったカップの水滴をティッシュで拭き取りながら不満を言う咲也は適当に置かれたリモコンも拭いて、いつもの定位置であるテーブルの端へと置いた。 「人の部屋、こんなに散らかして、申し訳ないとか思わないんですか?」 小言をいいながら、散らばるポテトを整えると二宮は全然っと、肩を竦める。 「部屋が散らかるより、お前と会話とかしたいし」 「俺と会話したいなら、部屋汚さないで下さい」 会話に集中できないと、ぶつぶつ文句を言う咲也へ二宮は距離を詰めた。 「な、なに……!?」 いきなり至近距離で見つめられ驚くと、二宮は左首筋を指さした。 「これ、目立つな。誰かに何か言われた?」 ニヤニヤ笑いながら、昨日自分がつけたキスマークをからかってくる二宮に咲也は思い出したように声を荒げた。 「あんたねー!こんなん、いつの間に付けてたんですか!?今後、やめてくださっ……!!」 グイッとシャツを伸ばされ、その衝撃でシャツのボタンが飛ぶと、二宮はまた首筋へ顔を埋めた。 「ちょっ…!」 振り払おうと、咲也は腕を払ったが、逆にそれを押さえつけられてソファへ倒れ込んでしまう。 そのまま、首筋を舐められ、再びチリリと首筋が痛む。 「っ!!」 痛みに身をすくめたとき、二宮が顔を上げ、瞳に自分の姿が映って咲也は恥ずかしさに赤面する。 「な、な、何してんだ!退けよ!!」 「まあまあ、そう怒んなって、冗談でしてんじゃないからさ」 ぺろりと舌舐めずりして、今度は右側の首筋へ顔を沈める二宮に咲也は暴れた。 「ば、バカ!やめろ!!兄様に言うぞ!!」 「言えよ」 右首筋にまた痛みが走り、顔を歪めた咲也の耳に二宮の真剣な声が囁かれる。 「優一には本気だって伝えてるから……」 いつもの軽い口調ではなく、本気の混じった声音と男臭い声色に咲也は不安気に顔を歪めた。 身体が強張り、この男に力では敵わないことを知る咲也は小さく体を震わせた。 「………怯えるなって」 咲也の不安を察知した二宮は直ぐに咲也の上から身を引いて解放してやった。 怯える紅茶色の瞳を覗き込み、あやすように頭を撫でると、ソファへ座るよう腕を引いて起き上がらせてやる。 「これ以上は触れない。お前の許可が下りれば別だけど」 ハハッと、余裕風を吹かせて笑う二宮はいつもの冗談めいた気さくな雰囲気に戻っていて、咲也は安堵すると、握り締めた拳でパコんっと、頭を一発ぶん殴ってやった。 「今後はこんなこともやめて下さい!」

ともだちにシェアしよう!