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第191話

学校から寮へ戻り、咲也が自分の部屋の扉を開くと、明るい声が出迎えてくれた。 「おっかえり〜」 意気揚々と自分の帰りを待っていたのは今朝、自分の部屋へ訪れると連絡を入れてきた二宮だった。 「お?三男も一緒じゃん!」 咲也の隣に立つ渉を見て二宮は嬉しそうに笑った。 「……どーも」 無愛想な挨拶をする渉に二宮は気にする様子もなく、部屋へと招く。 「おう!座れ〜」 「ここ、二宮先輩の部屋じゃないですよね」 「ああ。咲也の部屋だけど?」 それがなにか?と、首を傾げる二宮に咲也ががなった。 「ちょっと!散らかさないでって言ってるでしょ!!」 お菓子を持ち込んでいた二宮はテーブルの上を食べカスやらゴミやらで汚していた。 「大丈夫、大丈夫!ちゃんと片付けるから」 「そう言って、昨日も散らかして帰ったじゃないですか!」 怒りながらゴミをゴミ箱へ、散らばる食べカスをウェットティッシュで拭き取り綺麗にする咲也を二宮はクスクス笑って見つめた。 「あんたね〜、笑う暇あるなら手伝ってください!っていうか、またリモコン拭いてないっ!ちゃんと拭いて綺麗にして下さいよ!!」 イライラした口調で捲し立て、リモコンを拭う咲也に渉が口を開いた。 「二宮さん、何しに来たんですか?咲也への嫌がらせですか?」 「え?違うけど。咲也のこと口説きにきてるだけ〜」 意気揚々と告げるその言葉に渉の眉間に皺がよる。 「今日はチキン買ってきたから食べようぜ〜!三男も食べる?多めに買ったから多分足りると思うけど」 今日も一緒に夕飯をとろうと誘う二宮は咲也の腕を引っ張って、自分の隣へと座らせた。 「二宮先輩って、ジャンクフード好きですね」 「うん!この体に悪そうなのが堪んない」 ウキウキしながら有名店、ケンチキターのチキンを開封する二宮に渉が嫌味を放つ。 「咲也はそういうの好きじゃないですよ。知らないんですか?」 「ん〜。知らない。だって、こいつ何でも文句言わずに食うし」 しれっと言い返されて、渉は咲也を見る。 「……体に悪いとは思うけど、嫌いじゃない」 正直な気持ちを告げると、咲也は二宮の買ってきた骨つきチキンへ手を伸ばした。 「あ!咲也、骨つき派?」 「はい」 「俺も、俺も〜」 疎外感を感じながら渉は盛り上がりを見せる咲也の隣へ腰を下ろすと、手慣れたように手をウエットティッシュで拭いて、アルコール消毒をした。 「なに?三男ってば潔癖?」 意外だと渉の行動へ口を挟んだ二宮に咲也が答えた。 「俺に気を遣ってしてくれてるだけです」 「ふ〜ん。ホント、咲也の犬なんだ」 馬鹿にするように含み笑いをして二宮が溢した言葉に渉はカッと頭に血が上り、テーブルをダンッと拳で殴りつけた。

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