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第45話
「や、やめっ…、渉!!」
服を裂き、自分の肌へと触れてくる渉に咲也は鳥肌を立たせて身を捩った。
兄ではないと頭で分かっている為か嫌悪感が募り、体が拒否反応を起こす。
「渉!やめろ!嫌だ!!」
足を蹴り上げるように抵抗し、身に付けた武術を用いて逃げようと試みるものの、渉もまた各種の武道の有段者なことからそれらの抵抗を全て否された。
ベッドの上に押さえつけられ、手荒く衣服を脱がされると腰を持ち上げられる。
「ひっ!」
臀部に冷たい液体が掛けられ、ぬるぬるした感触が気持ち悪かった。
「咲也。じっとしてろ」
優一に似た口調で命じられ、咲也の体がピクッと跳ねた。
「いい子にして。俺に任せろ……」
優しくも圧力と自信に溢れる物言いに咲也は頭の中で兄を思い描く。
兄になら抱かれてもいい
いや、抱かれたい……
どんな形でもいいから
どんな仕打ちでも受けるから愛して欲しかった
「…兄様……」
震える声で兄を呼ぶと優しく大きな掌が頭を撫でてくれた。
兄と似た仕草に胸が高鳴る。
「抱いて……。兄様になら何されてもいい」
体から力を抜いて催眠術にでも掛かったかのように咲也は抵抗をやめた。
そんな咲也を渉は何とも言えない感情に襲われ、奥歯を噛み締めながら自身の服を脱いでいった。
「あっ、はぁ……、んんっ、いいっ!兄様ぁ……気持ちいいっ!イってぇ…、俺の中でイってください!!」
四つん這いになり、蕾を曝け出す咲也を渉はローションで簡単に濡らし、指でおざなりに慣らすだけで自身をぶち込んだ。
それなのに咲也は文句一つ言わない。
痛みに震え、絶対気持ち良くないにも関わらず必死に気持ちがいいと兄を受け入れようとしていた。
四肢を強張らせ、咲也自身のものも痛みと緊張感で以前抱いた時のように反応などしていなかった。
とろとろに溶かして体を支配してやることも可能たが、そんなことしてやる気など毛頭ない。
兄にどれ程、媚びて縋り付いても愛されるわけではないと思い知らせてやりたい。
気持ち良くなんてしてやらない
痛みと苦痛に耐えればいいのだと、渉はより乱暴に咲也の腰を打ち付けた。
「あっあっあっ……、んっはぁ、も、もっと…、兄さまぁ…、好きぃ……」
無理矢理喘ぎ声を出し、掠れた声で告白してくる咲也に胸がざわつく。
そんな心とは裏腹に体は熱に侵されて高みへと上り詰め、腰を振るスピードが増して咲也の中で自身の欲望を弾けさせた。
それを感じた咲也は脂汗をかきながら額をベッドへと押し付ける。
渉は荒い呼吸を繰り返しながら一度、咲也の中から自身を引き抜いた。
自分の大量の精液が入ったゴムを辟易する思いで一瞥すると、ゴミ箱へと投げ捨てた。
代わりにもう一枚、新しいゴムを取って咲也の体を起こさせると自分の股の間に顔を押し付ける。
「まだ抱いて欲しいなら舐めて大きくしろ」
その不遜な命令に咲也は目隠しされた状態で、手探りに渉のものを探り当て、請うように囁くと唇を寄せた。
「兄様……、抱いてください」
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