「ふぁ…ッンぅ……、イ、イくぅ…。はぁ、やっやっ！」 かぶりを振って、辛いと喘ぐ咲也を渉は浅い位置にある前立腺を指の腹で押し潰すように撫で上げた。 「イっていいよ、何回でも。今日は空っぽになっても抱くから」 優しい笑顔で残酷な言葉を告げられた咲也は縛られた手で目の前を覆って視界を遮った。 兄様…… 長年の癖から兄を想わないとイけない思考になっているのか、高ぶる体の熱に翻弄されるなか脳裏でいつものように兄を思い浮かべる。 「咲也……、手を離して俺を見て」 そんな咲也の思惑など手に取るように分かっている渉はその行動を阻止しようと咲也へ与える全ての愛撫を止めた。 「アッ……んっ、ヤッ…、にぃ……さまぁ…」 腰を揺らして兄を求める咲也に渉が腕を押さえつけ、薄っすら開く紅茶色の瞳に己の姿を映させた。 「兄様なんていない。俺だ！俺の名前呼んで。そうじゃなきゃ、絶対イかせない」 怒気を孕むような声に意識が戻り、目の前のフィルターが外れて自分に触れているのは幼馴染みの渉だと咲也は否応なしに認識を改めさせられた。 「はぁ…、ヤッ……！わ、たる？嫌だ！兄様がいいっ！！」 顔を横へと反らせ、青ざめる咲也の心は悲しきことに本心なのだろう。 先走りの甘い蜜も滴らせ、ガチガチに勃っていたものも萎え始める始末に渉は少し心を痛ませたが、同時に変な意地が頭をもたげ始めた。 「……絶対、空っぽにする」 仰向けで足を閉じようとする足を大きく開いて肩へと担ぐと、咲也へ見せつけるように渉は勢いを失いつつもまだ硬さを少し保つ咲也のものを口の中へと咥えた。 「ッンァあ……、はぁ…アッアッアッ……ッ」 同時に指を二本、後孔へと押し入れて前立腺を突いてやる。 「ぁあーーー、イくぅっ！」 顎を反らせて、叫ぶ咲也のものは再び硬さを取り戻し口の中でビクビクと跳ねた。 すかさず空いてる手で根元を締め付けると、咲也は達せない事に半狂乱にうわ言を口走った。 「ァアーーーッ……、兄様っ、にいさまぁ……、イ、かせてぇ…、なんでもするからぁ…っん、ヒッイヤァ……」 また兄を呼ぶ咲也に渉は憎しみが沸き起こり、咲也の先端に歯を立てる。 痛みに体を大きく跳ねさせて固く閉じていた瞳が自分へと向けられた。 「ちゃんと俺の名前呼べ」 自身から顔を上げた幼馴染みの黒い瞳にただされ、咲也はわなわな震える唇で観念するように求められた名を口にした。 「わ……たるぅ…、もぅ……」 荒れ狂う体の熱がおかしいと涙を流すと、名前を呼ばれた満足感に渉は柔らかく微笑み咲也の根元を解放してやった。 「咲也、俺の名前呼んで……。気持ちよくしてあげるから」 ね？と、言い聞かせるように囁くと渉は再度咲也のものを口に含むと頭を上下に動かした。 「あっあっあっ……、き、もちぃ…、でるぅっ、ンンッ…、わた……るっ、渉、渉っ！！」 不自由な手を渉の頭へと持っていき、サラサラの黒髪を躊躇いがちに引っ張ると、それを合図に渉は先端を思い切り強く吸い上げてやった。 「あっヒィッ……、ンっ！！」 一際大きな喘ぎ声を出したのち、歯を食いしばり達した咲也は荒い呼吸を吐いて四肢から力を抜いた。 それを見計らうように渉は後孔へと埋め込んでいた二本の指を三本にして前立腺を引っ掛き回した。