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第59話
カーテンの隙間から漏れる朝日の光に咲也は重い瞼を開けた。
真横には良く知る幼馴染みがスヤスヤと寝息を立てていてボーッとしていた意識が一気に覚醒する。
慌てて起き上がると自分の部屋じゃない事に焦りが生まれた。
ベッドを降りた時、後孔から太ももにかけて何かがツーっと伝うのを感じ、俯くと昨夜の情事で渉が中へと放ったものが流れ落ちる。
それを見た咲也はひーっ!っと、声にならない声を上げてパニックに陥ると同時に潔癖症の症状で鳥肌を立たせた。
呼吸もどことなく苦しく感じ始め、急いで地べたに放り投げられていた自分の衣類を着込み、部屋を飛び出した。
歩けば歩く度に後ろから垂れ流れる違和感のある液体に涙が滲む。
汚されたと頭の中がぐるぐる回って自分の部屋へ着くなり服を着たまま風呂場へと飛び込んだ。
シャワーを頭から被っては急いで服を脱いで体の汚れを洗い流そうとボディーソープを手にとる。
「き、汚い…。どうしよ……、中洗わなきゃ……」
そろりと自分の臀部へ手を伸ばし、蕾へ触れた時ドロっと溢れ出てきた精液に咲也は硬直する。
「やだっ!やだっ!!やだっ!!!」
汚い、汚い、汚いと何度もかぶりを振っては涙を浮かべながら必死に流れるものを洗い続け、自身の体を咲也はいつも以上に丹念に洗う事となった。
「……いった…ッ…」
気が済むまであちこちを綺麗に洗った咲也の体はアカギレが起こっていて所々血が流れていた。
服を着る前に薬用品の乾燥用ボディクリームを塗って痛みを緩和する。
一通りの処置を終えると自分のベッドの上へと腰掛け、そのままポテンッと横たわった。
瞳を閉じると昨日の情事が瞼の裏にじわじわと広がり、恥ずかしさから瞳を開いた。
いつも兄を想って抱かれていた分、幼馴染みの熱い情熱に混乱した。
優しくも大胆で抵抗を許さない慣れた手つきは自分を翻弄するには十分過ぎた。
兄を頭に浮かべた途端、怒りに責められ、渉を求めると甘く責め崩してくる。
二度抱かれたが、その二回とも違った抱き方に咲也は動揺した。
『俺、仕様で抱くから』
そう言った渉の言葉が耳に木霊する。
熱く何度も何度も高みへ昇らされ、訳がわからなくなるほど追い立てられた。
やめてと言うと、嬉しそうに笑って強請るように鳴けば、甘美な快楽を重ねて与えられた。
優しいのか優しくないのか分からない。
分からないが、こんな幼馴染みの一面はあまり知りたくなかった。
「くそ〜……。どんな顔で会えばいいんだよ」
兄ではなく渉と寝たと完全に自覚を持ってしまった咲也は後味の悪いこの感覚に重い溜息を漏らした。
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