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後編・第93話

「なんだよっ!?馴れ馴れしくするなっ!!」 生徒会室にて資料を探すために棚を漁っていたら、真後ろから抱き締めるように渉に囲われて咲也はヒステリックな声を出した。 卒業式を終え、兄達が去るや渉は物凄く積極的に咲也を口説き始めてきた。 2年へ進級し、またしても二人は同じクラスな為、常に自分を追いかけ、夜は夜で咲也の部屋へ夜這いに来てはそばに居ることを徹底していた。 「何?照れてんの?」 耳元で揶揄うように囁かれ、咲也の敏感に開発された体がびくんっと跳ねた。 「感じた?……する?」 耳の裏へ舌を這わし、誘うように足を開かせていく渉に咲也は顔を真っ赤にして叫び声を上げる。 「っわぁあっ!!ばか!ばか!ばかっぁあ!!皆んなが来るっ!!」 振り返りざま拳を振り回すと、腕を押さえつけられ、くるりと体を反転させられた。 真正面から自分を見つめる渉は勝ち誇ったようにやらしい笑みを浮かべて告げてきた。 「誰も来ないよ。今日、生徒会休みだから」 「…………はぁ?」 渉の言葉に咲也の薄いフレームの眼鏡がズレ落ちた。 その眼鏡をスッと奪い取り、渉はあっけに取られるその唇へキスをする。 「ん。だから、今日はオフ。咲也があんまり逃げるからおびき寄せただけ」 「おびき寄せたって……」 「生徒会長の権力で」 ふふっと笑って腰を抱き寄せてくる幼馴染みに咲也は息を呑んだ。 進級と同時に前生徒会長と副会長である猛と優一から渉は生徒会長の任務を言付かった。 そして副会長には綾人が任命を受け、咲也は渉の後を引き継いで会計委員長になっている。 ざくろはというと、少し前まで不安定ではあったモデル業が再び勢いをみせる人気を誇り、今では学業と仕事にてんてこ舞いの為、生徒会からは外れ、代わりに何名か渉と咲也の息がかかった人物を推薦して今の生徒会が成り立った。 皆、有能で真面目なことから業務はかなり順調に捗っていた。 派手さこそないが、地に足をつけて着実に目標へと進むことができる堅実なメンバー達だ。 そう思うと、派手さが目立ち、いきなりアレがしたいコレがしたいと言っては予定をかき乱してきた兄達がどれほど破天荒な人達だったのかを二人は思い知らされた。

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