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第96話

「ってか、神楽さん。来るの明日じゃなかった?」 耳がまだ痛いと押さえながら渉が体を起こして神楽へ質問した。 「ああ。そのつもりだったんだけど、学校で優一と会って綾ちゃんに届け物を頼まれたんだ。反応見たさに早く渡したくてここへ来たんだけど」 今日は生徒会休み?と、二人以外いない室内に神楽が肩を竦める。 「ええ。今日は休みです。届け物なら預かっておきますよ」 立ち上がり、神楽へ手を差し伸ばすと少し考えたあと茶色い紙袋を手渡された。 「それ、初心者用らしいからあげる。綾ちゃんにはまた同じもの届けるから二人で使っていいよ」 邪魔者は退散しますと、神楽はそう行って満面の笑顔で手を振り、部屋を出て行った。 「……使ってって何それ?」 神楽が去って、なんとなく気まずい雰囲気ということもあり、咲也が当たり障りない会話を振った。 神楽から手渡された紙袋を指差すと、渉は首を傾げて袋を開け、ラッピングされた二つの箱を取り出す。 包装紙を綺麗に破って中を開くとそれは、男根を型だった卑猥な形をした大人のおもちゃだった。 「……ゆう兄らしいね」 呆れた顔でもう一つの包装紙も破くと、そこには黒い掌サイズのケースがあり、中には尿道プラグが入っていた。 さほど興味がないと、渉は無表情で元の茶色い紙袋へしまったのだが、自分の隣で固まる幼馴染みを見やると、まだウブな咲也は赤面して絶句状態に陥っいる。 そのあからさまな反応に逆に内心驚くと、渉のなかのチャレンジ精神がムクムクと頭角をみせた。 「試してみる?」 袋を掲げて聞いた途端、目にものみえぬ速さで右頬が拳を打たれた。 「ッイた!」 「そんな下品なの使うわけないだろっ!馬鹿っ!!」 羞恥で震え、赤い顔で怒声を放つ咲也はフンッとかぶりを振ると足早に生徒会室を出て行ってしまった。

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