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第112話
「ぅ……、んぅ…っ……」
渉の上に乗ってゆるゆると腰を上げ下げする咲也は眉間に皺を寄せて小さな声で喘いだ。
正直痛みが強くて辛かったが、先ほど自分が舐めたことで唾液が潤滑液の役割をこなして渉を受け入れることが出来た。
「はぁ……、んっ…」
痛みを感じることを隠すように下を向いて必死に腰を振っていたら、渉に腕を掴まれた。
「な、何!?」
「いや……、可愛いなって。あと、すげぇ気持ちいい」
熱い吐息で伝えてくる渉に咲也は胸が締め付けられる。
自分が本当に渉のことを好きになったのだと再確認した。
「ん……、俺も」
痛みはあるが、慣らされた体はそれだけでなくうずうずと疼いては快感を生もうともしていた。
その感覚だけを頼りに深く息を吐いて腰を振る。
幾分、痛みにも慣れ始め、さっきよりスムーズに動くことが可能になったとき、渉が急に上体を起こした。そのまま足を腕に抱えられてベットの上へ組み敷かれる。
「ごめん。我慢できない」
咲也の技術では達することが出来ないのか、渉は抱えた足を大きく開かせると思い切り腰を打ち付けてきた。
「っ!!」
呼吸が止まり、快楽と苦痛が交差した。
「咲也のいいとこ、ここだろ?」
奥の壁を狙うように腰を更に進められ、慣れていない内部は内臓を押し上げられる感覚に陥って苦痛が広がった。
「ぅあっ……んっ、いぃ……」
そんな不快感を悟られないように必死にシーツを手繰り寄せて顔を隠し、渉の望む言葉を紡ぐ。
己の快楽に夢中になり始めた渉は咲也のずり上がった体を引き寄せると、激しく抽送を繰り返した。
「アッアッア……、ぃっ…んぅ……」
もう痛いのと苦しいのが入り混じり、それに加えて悟られてはいけない不安が咲也を襲う。
いつも自我を失うほどの快楽に堕ちていた自分はどのように乱れていたのだろう……
「咲也、気持ちいい……?」
少し不安そうな気遣う声に咲也が小さく頷いて渉の首へ腕を絡めた。
「いい……。きもちい…から、もっと……。渉、もっとして…」
上擦った声で求めるようにキスを繰り返すと、渉は口元を笑みにして抱きしめ返してきた。
「中に出していい?」
「ん…。いいから、早く……」
中にでもどこにでも出してくれ
身体が辛くて、咲也はこの心と体がバラバラな情事を早く終わらせたいと何度も首を縦に振った。
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