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第116話
いきなりのキスに身を引こうとしたら、神楽に腰を引き寄せられて抱きしめられた。
「んぅ、ぁ…ちょっ……」
焦って首を捻り、声を出したら追いかけられて舌を捻じ込まれ咲也はパニックに陥る。
「ンンッ……!」
神楽に後頭部の髪を引っ張られ、自然と口が開くと咲也は更に深く口付けられた。
自分の体を押さえ込む力とは裏腹に神楽のキスはとても丁寧で優しい。
上顎をくすぐる様に舐めては、不快にならない程度に舌を絡めてさらりと口内を舐めとっていった。
呼吸もしやすいように感覚をあけてくれる配慮に苦しさはなく、ただ堕ちそうな快感に包まれる。
「お前、可愛いな…」
うっとりとした瞳をそっと閉じたとき、唇を離され囁くように告げられた。
そして、柔らかい笑みで神楽は咲也の体を解放した。
「何か色々思い詰めてることあるっぽいけど、俺で良かったら力になるよ?」
艶かしい雄臭い笑みを浮かべる神楽に心臓が高鳴り、咲也は顔を赤く染め、俯く。
「体の相性も良さそうだし、弟が嫌じゃないなら俺のこと利用してみな」
満更でもなさそうな咲也の反応に神楽が笑って頭を撫でた。
「前向き検討してくれよ!来週また来るからさ」
「前向き検討って……」
「セフレの!優一に似てるからどうかなって思ったけど、お前全然にてねーわ。蕩けた顔とかグッときたし!」
あははと爽やかに笑う神楽は言ってる内容がその表情とリンクしなくて咲也は面食らった。
「セフレが不服なら恋人でもいいけど。俺、今フリーだから」
妖しい笑みでそう付け足すと神楽はひらひらと手を振って生徒会室を出て行った。
残された咲也は何がなんだか分からなかったが、自分が神楽を心から拒否出来なかった事実に驚き、ただただその場に硬直した。
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