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第143話

「な、な、なに⁉︎」 あまりの迫力の渉が怖くて咲也は体を起こして、ズルズルと後退りした。 ベッドヘッドに上体がぶつかってこれ以上、逃げらなくなり、それを見計らうかのように渉の手で足首を掴まれた。 ビクンッと驚きと恐怖心から体を跳ねさせ、両足を閉じると、渉がクスリと笑って見つめてくる。 「逃げるほど怖い?」 「に、逃げてないっ!」 余裕綽々な態度が悔しくて去勢を張るが、何をされるのか分からなくて怖い事実に咲也は内心パニックを起こしていた。 そんな自分へ優しく笑うと、渉は掴んでいた足首をそっと持ち上げて、足の甲へと口付けた。 「う、そ……、バカ!汚い!」 「汚くないよ」 足を引いて渉の行為をやめさせようとするも、足首を握る力を強められる。 「咲也に汚い場所なんてない」 そう囁くと、渉は口付けた足に舌を這わせてきちんと手入れの行き届いた足の指、一本一本を口の中へと含んでいった。 「っん!…ば、かっ……ぅ…」 丁寧に指を舐めて、時には強く吸われ、咲也は羞恥と微小な快感に体を震わせた。 足を何度も引いて拒んでみたが、拒めば拒むほど渉の舌が追ってくる。 「ぁ……はぁ…ン……」 羞恥よりも快感が徐々に勝って、口からは小さな声が漏れ始めた咲也はそれが嫌で自身の口元を両手で押さえた。 「気持ち良くなってきた?」 小刻みに震える咲也の足を下から上へと撫で摩り、ふくらはぎ、太ももと舌を這わせながらやらしく聞くと、まだまだ勝気な瞳が睨みつけてきた。 「うるさいっ!バカっ!!」 「はいはい。バカで結構。ほら、足開けよ」 ギューっと力を込めて両足を閉ざす咲也へ太ももを撫でながら言うと、咲也は顔を真っ赤にしてそれを拒否した。 「ぃ、イヤだ!」 「なんで?」 「なんででもっ!」 「……」 熱に潤む紅茶色の瞳には焦りのようなものも感じられて、その意味をなんとなく察する渉はほくそ笑んだ。 「感じたこと、照れてんの?」 ストレートに告げてくる渉に咲也のプライドがピシッと音を立ててヒビが入った。 「ちがーーーうっ!!」 大きな声を上げ、近くにあった枕でバンバン渉へ攻撃するが、そんな攻撃も枕を取り上げられてベッドの下へと投げられた。 「ほらほら。変な意地張らずに俺に任せなよ」 フッと吐息で笑われ、不意をとられた一瞬に咲也は両足を渉の手で割られてしまう。自身が足を舐められただけで反応を示している事が知られて、恥ずかしさに頭の中が真っ白になる。 「しっかり感じてんじゃん」 顔を覗き込み、意地悪な言葉を続ける渉に咲也はもう嫌だと瞳を閉じた。 「咲也。目、瞑んないで…。ちゃんと見ろよ」 いつもならこんな風に追い立てたりはしない渉だが、今日はとことん咲也に突っかかるように一声一声かけていった。 その度にやめてくれと咲也は身をよじって逃げようとするが、もちろんそんなこと許すはずもなくて…… 「俺に愛されるの、ちゃんとその目で見て、その体で感じろ」

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