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第2話

ーーいい事やったぞ、俺! 俺は意気揚々と廊下を闊歩していた。明美もあんな態度だったが実際拓海とやりとりしたらあっという間に付き合うだろうな。なんたって拓海はイケメンだしいいやつだからだ。 「たっだいま〜」 「洋一、どこ行ってたんだよ。急に飛び出してくなんて……もうチャイムなるぞ」 「ごめん、ごめん」 教室に戻ると待ち構えていた拓海に責められたが俺は気にしない。にやけそうになる顔を手でを隠しながら謝ると拓海は困ったように笑いながら俺の頭にポンと手を置いた。 ーキュンー えっなにこれ?キュンてなんだ?この感情が何かわからなくて、まぁいっかってその時は放っておくことにしたんだ。……これが後々大ごとになるとはこの時は思っていなかった。 翌朝。教室に入ろうとしたその時、後ろから思いっきり肩を掴まれた。びっくりして振り向くとそこには眉間に皺を寄せた拓海がいた。 「洋一!これどういう事だよ?」 「えっなにが?」 拓海が携帯を俺に差し出した。メッセージ画面になっていてよく見ると明美とのやりとりが書いてあった。 「おーおー、連絡来たんだ」 「なんで、勝手に教えたんだよ!」 「そんなのさぁ、わかんだろ?」 にっと笑い優しく拓海の手を振りほどくと、拓海は頭を掻きながら深いため息を一つ吐いた。 「高宮さんと翔南大のオープンキャンパス行くことになった」 「おぉ!展開早いな」 「お前も行くんだよ!」 え?俺も?コイツ、チキンか……俺もいちゃ意味ねぇだろ!て心の中で思ったけど、まぁしょうがない昨日の今日でいきなり二人きりはさすがに緊張するだろう。俺は二人のキューピッドだ、それくらい協力してやる。 「しょうがねぇな、今回だけだぜ?」 そう言いながら笑った顔に腹が立ったのか拓海のデコピンが俺の額にクリティカルヒットした。 「拓海くんのお姉さんて教育学部なんだよね」 「そう。小学校の先生目指してて」 「ここの教育学部、採用試験の合格率高いんだよね。まず翔南大学に入るのが難しいけど……」 「明美ちゃんの成績なら大丈夫だよ。なんなら家に姉貴が使ってた参考書あるけどいる?」 「えっ嬉しい!ありがとう」 おかしい。明美に拓海の連絡先を渡して一週間。二人が『拓海くん』『明美ちゃん』呼びになっている。 オープンキャンパス当日に待ち合わせの駅に向かうと二人は既にいて、仲良くおしゃべりしていた。その姿が美男美女のお似合いカップルに見えてなんだか無性にイライラした。

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