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第63話
合同レッスン日。
未来は先日受けた陽香の頼み事、神谷叶多に彼女はいるかどうか。
それを調べて欲しいという願いを果たす為、Oクラスの先輩達に探りをいれてみた。すると。
「いや…、彼女はいないと思うけど…」
「…うん。でも彼氏はいるよ、神谷君…」
少し気まずそうな顔をして答える七瀬と健太。
「あぁ、彼氏ですか。そっか、そうなんですかぁ~、って、えっ…?えぇっ!?」
彼氏という言葉に最初こそ違和感を覚えなかった未来だが、しかし口にしてはじめてとんでもない事実を自分が知ってしまったことを把握した。
「そういう事。因みにその彼氏ってのは相澤君な」
蒼真の口からでた相澤の名前。
未来はその名前の記憶を少し辿った。
「相澤君って、Lusterの…?」
海斗と大和に、最初にこの合同レッスンに来た時に紹介された事を思い出した。
「そう。ついでに教えとくと、大和君と海斗君、高村君と内村君もできてるから」
さらりと健太からそう暴露され、未来は瞳をまん丸にして大きく口を開けた。
「えぇっ?!そうなんですかっ?」
「そうなんです。だから一応覚えといた方がいいよ。勿論他言無用だけど、うちじゃ暗黙の事実だからさ」
薄い笑みを浮かべる綾人に、未来は衝撃の事実を知った事でしばし固まってしまった。
神谷の彼女を知ろうとしただけなのに、なんだか知りたくない事を沢山知ってしまった様な、なんともいえない気持ちに未来はなった。
※※※
自宅の自室。
暇だし筋トレでもしようかな、なんて事を琉空が思いながら漫画を開けていた所に、未来から着信があった。
そして聞いてよ!という未来の第一声から始まり今に至る。
「…へぇ~…。なんつーか、芸能界はそういう趣味の人多いとは聞いてたけど…」
他言無用と綾人に釘を刺されたにもかかわらず、未来は早速琉空に暴露してしまった。
「うん…。まさかこんな身近に何人もいるなんてね。ちょっと、いや結構びっくりかな」
そう。びっくりすぎた。
だから自分と同じようにびっくりをしてくれる人が未来は欲しかったのだ。
「だよな…。でもお前まじで気を付けろよ?斗亜君の事もそうだけど、お前流されやすいんだらさ」
こうも周りにゲイが多いとなると、琉空は真剣に未来の身の安全が心配になってしまう。
なんせ未来は見た目がいい。
中身はとんでもないが、やはり外見だけは可愛いと琉空も思ってしまう程。勿論全く思いたくないのだが。
「え?いや、そんな大丈夫だよ。いっくら僕が流されやすいからって、流石に流されて男の人と付き合う事にはならないから」
ケラケラとまるで危機感なく笑う未来に、琉空はそうだろうかと眉根を寄せた。
だって未来は現に斗亜にキスを許してるではないかと琉空は思う。だが
「まぁでも、お前が仮に男と付き合う事になったとしても、俺は友達だから。そういう偏見はないから安心しろ」
やはり真剣な声音でそんな台詞を言う琉空に、今度は未来の眉根に皺が寄った。
「はぁっ?だから付き合わないってっばっ、絶対にっ」
少しイライラとした口調で言う未来に、琉空ははいはい、解った解ったと、適当に流したものの、本当にそうならない事を親友としてこっそりと願った。
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